活動レポート

[活動レポート]平成22年週刊1号 教育の機会均等とは何なのか

教育の機会均等とは何なのか

私が「教育」を議会で訴えるようになったのは、市内にお住まいのあるお母さんからいただいた言葉でした。

「うちは収入があまりよくない。ゆとり教育の中で塾に行けない子は学力に差がつく一方です。収入がない家は学力が上がらなくても仕方がない、ということなのでしょうか・・・?」

それは違う。公立学校でのできることがあるはず。そう思ってから、全国で行われている学力向上策を学び始めました。

公立小学校での学力向上策は広島県尾道市立土堂小学校、そして山陽小野田市の取り組みを議会で提案し、公立中学校での取り組みは、杉並区立和田中の取り組みです。その中で塾との連携について、平成21年9月、12月議会で提案してきました。

日本の場合、授業は平均的な3の子に合わせてやっていると言われています。地域ボランティアを活用した補習は成績1〜2の子が対象、成績3の子は普通の授業でカバーできます。そうなると、成績4、5の子があぶれます。もし教育機会の均等を目指すのなら、今の公教育の現場では成績上位の子は正当な機会をなかなか与えられません。そこで、学習塾との連携によって、成績上位の子を伸ばすことを提案しました。

学習塾と連携している公立学校は、日本全国ではいくつかあります。中でも特に注目を集めたのが、杉並区立和田中です。和田中が塾を活用するに至った経緯は次の通りです。

今日の教員には昔では考えられない多くの負担がかかっており、学校内の力で解決するには荷が重過ぎる、ということから、学校外の力を活用するという発想になり、地域本部が出来上がりました。そして「土曜日寺子屋」通称“ドテラ”という、地域のボランティアを活用した補習を行っていく中で、「もっと勉強がしたい」という生徒が出てきました。

そこで英語をもっと学びたいという生徒を募集し、大学教授や塾講師が教える英語アドベンチャーコースを始め、2008年に高校中級レベルの英検準2級の合格者が3年生に15人、2年生に19人。杉並区23校中、16〜21位だった英語の成績が、ダントツの1位になりました。

英語Aコースで学び自信をつけた子が、自然に仲間に教えるようになりました。普段の授業でもリーダーシップを発揮するようになり、互いに学びあう雰囲気が生まれました。英語が苦手な子も変わっていき、上位の一部が伸びたのではなく、生徒全体が上がった結果、ダントツの1位になったそうです。「英語でできるんなら別の教科でもできるんじゃないか?」ということで始まったのが塾との連携した授業である「夜スペ」なのです。

和田中の取り組みでは、現実の受験が迫る中学3年生にとって、部活動のあと、そのまま参加できる受験対策の授業は、時間的なロスが少なく、学校が取ったアンケートでは、参加生徒と保護者の9割以上が「学習習慣が身につき、意欲も向上した」と答え満足度は高いという結果になりました。

塾との連携について、一番多い批判は「成績下位の子が損をする」、その次が「上位の子を伸ばすのは公立学校の仕事ではない」なのだそうです。この2つの批判が正しいとすれば、自分の子を公立学校に入れようと思いますでしょうか?

「教育の機会均等」という言葉、現実はどうでしょうか?高校受験に向けて、中学1年から進学塾に通わせた場合、3年間で100〜200万円かかります。つまり、子供に100万円単位のお金がかけられない家の子供は、上位の高校にチャレンジすらできません。この現状はどう考えても「格差」であり、「不平等」ではないでしょうか。

例えば、杉並区立和田中で行っていた、地域ボランティアによる補習授業である「土曜日寺子屋」、大学教員や塾講師が行う「英語Aコース」、学習塾との連携で行っている「夜スペ」をフルに使うと、3年間で36万5千円です。月1万円出せば、3年生までに上位校を受験する力をつけることができます。フェアな教育機会を提供しているのは、一体どちらなのでしょうか?

町田市教育委員会としては、今現在やるつもりはないという大変残念な回答が返ってまいりましたが、よりよい教育環境を創り上げるために、これからも全力を尽くしてまいります。

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