議会報告

[議会報告]平成18年9月定例会 – 公立学校の学力向上施策について

[ 平成18年 9月定例会(第3回)-09月08日-04号 ]

公立学校の学力向上施策について

◆12番(新井克尚) 通告に基づき、一般質問を行います。
公立学校の学力向上施策について。
平成14年12月13日に文部科学省からショッキングな調査結果が公表されました。全国の小学校5年生から中学校3年生を対象に実施した学力テストの結果を平成5年との共通問題で比較し、算数、数学、社会は全学年とも正答率が下がっていたというものであります。8月30日の読売新聞には、東京大学基礎学力研究開発センターの全国調査で、小中学校長の約9割が、20年前に比べて家庭の教育力が低下していると受けとめ、将来、学力格差は広がると見ていることが明らかになった。小学校の76%、中学校の65%が子どもを教えにくくなっていると答えたという記事が、そして文部科学省の国立教育政策研究所が発表した学力調査結果でも、漢字の書き取り、小4「チームのしゅりょく」、そして中2「輝かしいコウセキ」の正答率がともに2割以下。計算問題でも、「3+2×4」の正答率が小6で6割を下回ったことが明らかになりました。
もはや日本の児童生徒の学力が国際的にトップグループではないと平成16年末に文部科学大臣が認めたということもあり、この学力低下をいかに克服していくかは全国的な課題であります。東京都も学力低下に歯どめをかけようと、2008年度をめどに、九九や都道府県名を高学年までに覚えようなど、すべての小中学生に身につけさせる最低限の学習基準、東京ミニマムを策定すると発表いたしました。
そして公立学校がより一層努力をしなければならないことを裏づけるデータがあります。5月28日の読売新聞の記事、読売新聞社の教育に関する全国世論調査で、親の経済力の差によって子どもの学力格差も広がっていると感じている人が75%。格差社会の拡大が指摘されていますけれども、所得の格差が教育環境を左右し、子どもの学力格差につながっているとの意識を多くの人が持っていることがわかった。また、最近の子どもの学力が以前に比べ低下していると思う人は6割以上に上った。家庭の経済力によって子どもの学力の格差が広がりつつある、もしくはそう思うが、どちらかといえばを含め75%で、そうは思わない、計21%を大きく上回りました。だからこそ、公立学校でも学力が上がるよう、より一層努力をしなければならないと考えます。
道徳教育は学校だけではなく、家庭や社会も担うもの。学校教育固有の責任は学力ではないでしょうか。最も重要な学力をつけるという基本的な責務を教師が果たせる環境があるのかどうか。
そこで、お伺いをいたします。
1、現状はどうなっているのか。
2、今後の方向性について問う。
既に金子ひろのり議員の質問でお答えをいただいている点もあるかと思いますので、幾つかの取り組みについてお伺いをいたします。
まず、読み・書き・計算について。積極的に行っている学校、そうでないところがあると思います。行っているところがどういう取り組みをしているのか、また教育委員会としての姿勢をお答えいただければと思います。
次に、漢字検定について。日本漢字能力検定協会の漢字検定を学校として受けているところがあるのかどうかお聞かせください。
そして、モジュール授業について。現在行われている取り組みについてお聞かせください。
生活習慣について。前回の質問でも触れましたが、関連する内容なのでお伺いします。生活習慣を改めさせるために、1、どういうことを行っているか、2、すべての家庭に徹底されているか、端的にお答えください。
最後に、学力の定義をどうとらえているのか、お答えください。
以上、壇上からの質問といたします。

◎市長(石阪丈一) 新井議員のご質問については、教育委員会の方からお答えを申し上げます。

◎教育長(山田雄三) 公立学校の学力向上施策につきまして、お尋ねの具体的な取り組み5点についてお答えをいたします。
まず1点目の読み・書き・計算の状況と教育委員会の姿勢でございますが、読み・書き・計算などの基礎基本の定着に関しましては、特に小学校におきましては、取り組み量の多少はあっても、少なからず全校の取り組みがございます。積極的に行っている学校では、例えば小学校では音読、漢字練習や漢字テスト、日記、カードを使った九九算の暗唱、授業開始時の5分間計算など毎日続けて行う例や、算数の少人数習熟度別授業を推進する例などがございます。
中学校では、毎時間の確認テストやドリル、小まめな小テストの継続実施、数学などでの習熟度に応じたプリントやパソコンのデジタル教材を使った繰り返し計算学習、宿題を継続的に出して、家庭での学習習慣の形成に改めて取り組むなどの例がございます。現在、教育委員会では、全校の授業改善推進プランを増し刷りして全校配布し、情報の共有に努めております。
今後とも各学校の創意ある取り組みを情報提供する形で奨励し、広めていければと考えております。
次に、2点目の財団法人日本漢字能力検定協会の漢字検定を学校として受けているところがあるかでございますが、町田市において、財団法人日本漢字能力検定協会の漢字検定について生徒に呼びかけ、学校を会場として、希望生徒に対して実施している学校は、中学校で11校ございます。漢字検定のほかにも、英語検定、数学検定などもございまして、そういったものへの挑戦は、生徒にとっても意欲の向上や励みになる面もあろうかと思います。
実施につきましては、あくまでも各学校の判断ということになろうかと思いますが、教育委員会としましても、取り組み成果などを情報収集し、よい取り組みについては各学校に情報提供してまいりたいと考えております。
次に3点目、モジュール学習について、現在行っている取り組みでございますが、今年度は町田市立小学校13校で授業時間数に加える形でのモジュール学習を実施しております。内容は、読書、漢字練習やテスト、計算練習などでございまして、朝の15分間を使って、ほぼ毎日続けております。
他の小学校においても、授業時間数に加えない形での朝自習を多くの学校で実施をしております。内容は、読書や読み聞かせ、漢字練習や計算練習でございまして、朝会や集会などがない日の朝の時間を使って行っております。授業時数に加える形でのモジュールにつきましても、加えない形での朝自習につきましても、継続することにより児童生徒に基礎基本が身についた、集中力がついたといった成果が各学校から挙げられており、そうした成果については教育委員会としても認識をしているところでございます。
今後とも、よい取り組み、成果が上がった取り組みにつきましては、校長会、副校長会、主任会等での情報提供に努めてまいります。
次に、4点目の生活習慣を改めさせるためにということで、1点目がどういうことを行っているかでございますが、早寝・早起き・朝御飯や朝のあいさつに代表されるような基本的な生活習慣を身につけさせるために、家庭には、その必要性や裏づけとなる情報等を学校だよりや給食だより、保健だより等で知らせ、啓発を図っています。
子どもには、あいさつや時間を守るなど、学校生活の中で実行させる指導を、授業やさまざまな活動を通して行っております。また、栄養士から朝食をとることの大切さの話をする学校もございます。そのほか、PTAの協力のもとにあいさつ運動等を行っている学校もございます。
2点目の、すべての家庭に徹底されているかということでございますが、各学校では、学校だよりや保護者会等で基本的な生活習慣の徹底を図っていますが、全家庭で実行されているということについては、必ずしも行われているとは言えないというふうに受けとめております。
教育委員会としましては、家庭への啓発について、各学校の取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。
次に、5点目の学力のとらえ方でございますが、数多くの立場から多様な視点で多様な考え方、とらえ方がされているところでございますが、文部科学省では、公立小中学校における確かな学力の定義といたしまして、「知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や、自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力等までを含めたもの」というふうに示しております。
それらを支える基礎基本といたしまして、学ぶ意欲、学び方、知識や技能、課題発見能力、問題解決能力、思考力、判断力、表現力の8つの学力として規定し、それぞれについて確かな育成を図ることを求めております。また、それらが確かに育成されたかどうかをはかる学力の指標として、評価の観点という名称で教科ごとの学力を明示しております。
例えば中学校の国語についていえば、1つとして、国語への関心、意欲、態度、2番目として、話す、聞く能力、3番目に書く能力、4番目に読む能力、5番目に言語についての知識、理解、技能の5項目を示し、これらについて評価することで国語の学力が身についたかどうかを確かめながら学習指導を進めていくことを求めております。
以上でございます。

◆12番(新井克尚) まず、漢字検定についてなんですが、結果は公表はしていないということでよろしいんですかね。
次に、モジュール授業についてなんですが、13校でやっているというお話でしたが、昔はもう少し多かったというようなお話も伺っております。その点どうなのか、お聞かせください。
生活習慣についてなんですけれども、学校だよりとか保護者会等でどういう形で伝えているか、その辺をお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。

◎教育長(山田雄三) お答えいたします。
まず、モジュール授業だと思いますが、モジュール授業につきましては、ご存じのとおり、モジュールというのは、本来寸法あるいは機能の単位というふうなことで、学校の場合に、モジュールの例としては、15分間、3回やれば45分というようなことで授業時数に加えるというふうなことです。市の教育委員会としては、モジュール授業の条件としては3点を指導しております。
1つとしては、教科としての目標を明確にすること、もう1点は、指導者がついて指導すること。したがいまして、担任がいない中での朝の自習とは違う。それから、評価を行うこと、これはドリル等の結果も評価の材料とすることというふうなことで行っております。
したがいまして、モジュール授業については、中学校は教科担任制ということもありまして、数学ですとか英語ですとか、数学でいえば計算、英語は単語だとか、国語は漢字、そういうふうなことだと思いますが、モジュールについては、指導者の問題から、中学校は実施しにくい状況というふうになっております。
モジュールを全校にというふうなことだと思いますが、(「減ったかどうかです」と呼ぶ者あり)当初よりは減ったかもしれません。ただ、これは、モジュールにつきましては基礎基本の確実な習得の1つの方法でございまして、教育課程については校長の指導のもとに学校がつくることですから、モジュールをやれだとか、そういう細かい点まで市の教育委員会が統一をしてやるということについては、教育課程の趣旨からなじまないというふうに考えております。多分減っているのではないかと思います。
それから、生活習慣で具体的にということだと思いますが、これは具体的には、小学校、中学校ともそうなんですが、学校だよりだとか、そういうことでやっております。そういう中では、いろいろあるんですが、多いのは、例えばやはり早寝・早起き・朝御飯について、学校だよりで冒頭で校長先生が大体1面を書いておりますが、その中で、家庭に、とにかく遅くとも次の時刻までには寝てください、寝かしてください。1つには、低学年、1、2年生については8時まで、中学年、3、4年生は9時まで、5、6年生、高学年については10時までだとか。ゲームやテレビの時間を決めてください。朝御飯を毎日食べさせてくださいだとか。家庭での学習を毎日させてくださいだとか、そんなふうなことを学校だよりではやっております。
特に学校だよりの中では、子どもというよりは、早寝・早起き・朝御飯、これはまさに家庭のことだと思いますので、正直な話、保護者へ向けてだと思います。
そのほか、表題で「テレビを消して」というふうなことで、テレビを見過ぎる、テレビというのは大体受動的ですから、テレビを消して、家庭でその時間帯、本を読んだり、何か工作をしたりだとか、そういうことに努めてくださいだとか、それから、あいさつについても、家庭で朝起きたら、お父さん、お母さんも子どもに向かっておはようと言うだとか、そういうふうなことが、これは小学校、中学校共通だと思いますが、学校だよりで校長先生、副校長先生、栄養士さんだとか、そういう方がお書きになっているというのが状況でございます。
あと何でしたっけ。(「漢字、公表しているか」と呼ぶ者あり)漢字能力検定のあれですか、漢字については、公表というよりは、学校を会場にして生徒に受けさせてということですから、生徒には個々に協会から、例えば何級になりましただとか、そういうことでは届いておりますが、学校としては、そういう結果は来ないということでございます。

◆12番(新井克尚) 前回の質問のときに、私は、毅然とした態度でということをお話をさせていただきました。「市議会だより」ができ上がって読んでみると、毅然とした態度で臨むべき、この質問に対して、指導していますと書かれちゃったんですね。確かに私が毅然とした態度で臨むべきと質問した後に、校長会で伝えてまいりますというお答えだったので、質問に対する答えがかみ合っていなかったので、議会事務局職員は恐らくそういうふうに書かざるを得なかったと思うんですけれども、私はこの点に関しては、早寝・早起き・朝御飯、勧めてくださいとか、何時までに寝てくださいだけではなく、ぜひもう少し突っ込んでやるべきなんじゃないかなというふうに思うんですよ。
ちょっと復習をかねて、6月定例会でもお話をさせていただいたことをお話しさせていただきますけれども、体力、学力、気力を含めた生きる力の低下、これが昭和60年ぐらいから始まっている。テレビの価格が下がって、テレビが一家に1台から1人に1台の時代になってきた。テレビの視聴のパーソナル化と深夜化が始まってきたのがこの時期だと。その結果、家族団らんから家族散乱へとお茶の間の状況が変化をした。
ファミコンが発売されたのが昭和58年で、ドラゴンクエスト3が発売されたのが昭和63年、380万本が売れました。当時の小学生の人口が約800万人ということで、兄弟姉妹のことを考えると、小学生のいる家庭に1本の割合で普及をしていた勘定になる。また、レンタルビデオが普及したのもこの時代。その結果、テレビの視聴時間も含め、ディスプレーに向かう時間が増大をして、子どもたちの睡眠時間が減少をした。睡眠不足の結果、子どもたちのいらいらが増加して授業困難な状況が発生し、ちまちまとした基礎学力重視の教育を嫌う風潮があらわれた。
ここで、こんな膨大な資料を出しちゃったんですけれども、Bのグラフを見ていただきたいんですが、国際教育到達度評価学会、IEAの国際数学・理科教育動向調査の2003年調査の結果です。日本の中学2年生がテレビ、ビデオを見る時間の平均は最も長い2.7時間。これに、別のグラフで、ちょっとさすがにつけられなかったんですけれども、ゲームの0.9時間、インターネットの0.6時間を合わせると4.2時間になります。まとめますと、テレビ、ビデオ、ゲームが普及、深夜までディスプレーを見る子どもがふえ、ちょっと1枚めくっていただきまして、図EとFをごらんいただければわかるとおり、睡眠時間が削られている。1979年と2002年を比べているデータと、あとは東京都教育庁の調べですね。睡眠時間が減ってきているというデータが出ております。基礎基本の指導が敬遠された時期も、ここの時代にちょうど重なってくるというお話でした。
そして、ディスプレー、もう1つの問題点がある。睡眠時間が削られることと、もう1つあるんですね。それは、テレビと携帯、自分の子どもに無条件で使いたい放題使わせていて、学力問題に疑問を持っている保護者がいたとしたら、それは私はおかしな話だと思っています。学校のせい、教師のせい、指導要領が3割削減された。だから学力が低下した。学校は批判を浴びるばかりで。しかし、問題の根本は学校や教師、カリキュラムなのかどうか。私はここは、生活習慣、睡眠時間以外にもう1つ疑問に思っているところでございます。
それは、テレビなどのディスプレーを見る時間、先ほどの調査で4.2時間です。今、中2の女の子に携帯を持たせると、実質2時間メールを交換すると言われています。これをほうっておいて一体何が学力ダウンなのか。テレビ、ゲーム、ビデオ、インターネット、携帯電話などバーチャルな世界、これらに向かうために子どもたちは何を削ったのか。先ほどお話しをいたしました睡眠時間と家族との対話の時間を削りました。また、ディスプレーに向かうことは、直接的な人間関係やコミュニケーションを減少させて、人の感情の機微を読み取るようなコミュニケーション能力の低下も招いていると指摘をされています。この件はまた改めて取り上げるとしまして、テレビ、ゲーム、インターネットなど、ディスプレーを見ている時間、携帯を追加すると4.2時間以上になりますね。掛ける365日で年間約1,500時間になります。少ない人で1日平均3時間と見ても、掛ける365日で年間約1,000時間です。
それに対して学校の授業、1ページ戻っていただいてDの表を見ていただきたいんですが、中学が980こま掛ける50分で816時間です。小学校はそれ以下。小6で約710時間。学力にかかわる4から5教科、中学が約400時間強、小学校が390時間です。国語、年間約100時間ですよ。テレビやゲーム、携帯を通して見る日本語と国語の授業の比率、わかりますよね、これは。アニメやバラエティー番組を見て、タレントやお笑い芸人の人たちの日本語や友達との携帯メールの日本語が基本の言語になっているわけです。初めて会った男性に監禁されて、助けての後に顔文字をつけてしまうのが当たり前になってしまっているということですね。
単純に時間を比較すると、ディスプレーを見る時間が1,500時間に対し、国語の授業は100時間、少なくても1,000対100です。どんなに現場が頑張っていても、家庭に協力をしてらわなければ、これはかないっこないんですよ。それぞれの家庭に任せるでは、もう解決できない問題ではないかと私は考えております。一家庭が例えばテレビを見させないようにしたとします。クラスでテレビの話題についていけない、実際これで仲間外れになる、そういうお子さんもいるということなんです。だからこそ、学校も教育委員会も、保護者に命がけで、このディスプレーを見させる時間を減らさなきゃいけないと私は思うんです。なので、減らしてください、学校だよりで配る、保護者会で伝える、それだけじゃ私は足りないんじゃないかと思うんですよ。この点についてはもっと真剣にというか、取り組んでいただきたいというのが今回の私の主張でございます。
教員の自助努力にこれを任せていたら、恐らく教員はつぶれてしまいます。ぜひ教育委員会を挙げて、保護者に対して、ディスプレーを見させることはこれだけ害があることなんだ、子どもの学力に影響するんだということを伝えていただきたいと思いますけれども、この件についてご見解をお聞かせください。

◎教育長(山田雄三) 新井議員が言われることはごもっともだと思いますが、その方策が、ですから各家庭にという場合、例えば朝御飯1つにしても、きのうも食育の中でご質問がありましたが、なかなか学校によっては、確かにアンケートなんかで調査している例もあります。だけれども、子どもも高学年になりますと、朝御飯を食べてきたかと言うと、食べてきたという回答があるんですね。親をおもんばかっちゃうんじゃないですかね。それと、親御さんにこの調査というのは、家庭に入り込むことですので、その調査すらなかなか難しい。
ですから、新井議員さんが言われることは、校長先生だとか、そういうのはそういうふうに思っていると思います。ですから、実際に学校だよりなどで、表題が「テレビを消して」という表題で書いている校長先生がいます。とにかくテレビは一方的で、自分の考えだとか、テレビを見ている間はコミュニケーションもないですから、ぜひテレビは見ないで、これから秋ですので、秋の提案として、校長先生が学校だよりの1面に「テレビを消して秋の夜長を楽しもう」というふうなことで、その間、読書だとか工作だとか、家族で一緒の遊びなど各家庭で過ごしてください。習慣でスイッチを入れてしまうわけですが、消すことはなかなか難しいということで、校長先生自身も見ておられるんだと思いますが、私も頑張ってみますというふうなことで学校だよりをやっています。だけれども、それを見ても、見ない家庭もあるのかもしれません。子どもは確実に持って帰るのでしょうけれども、だからそれを本当に各家庭に浸透するというのは、正直言って、言うはやすいんですが、なかなか難しい。それで、教育委員会が一斉にというよりは、それぞれ学校、地域、特色がありますので、本当に各学校で取り組んでいただいているんです。だから、それ以上どうするのかなと。正直言いまして、本当に朝御飯・早寝・早起き。だから、これは前の新聞にありましたけれども、終戦後、非常に子どもが多くて貧しい時代でも、親が子どもに朝御飯を食べさせないで出したなんていう親はいないはずだというふうな新聞の記事、読者欄ですが、見ました。ぜひ朝御飯はきちっと食べさせていただきたいと思います。

◆12番(新井克尚) 確かに家庭の問題で、立ち入るのは非常に難しいというふうに思いますけれども、本当にそれでいいのかというところを説明させていただきたいと思います。
資料A、B、Cのグラフをちょっと見ていただきたいと思います。宿題をする時間、我が国は1.0時間であり45カ国中最も少ないんです。国際平均値の1.7時間よりも0.7時間少ない。我が国の生徒が国際平均値より多いのはテレビやビデオを見る時間であり,2.7時間と45カ国中最も多い。国際平均値の1.9時間よりも0.8時間多いです。家のお手伝い、アルメニアに次いで低い数値。国際平均が1.3に対して日本は0.6。このグラフから一体何が読み取れるか。国際比較で家庭教育力が確実に落ちているんです。教育は学校だけが努力をすればいいというものではない。家庭の協力なくして成り立たないものであると私は考えております。それはもう今までの説明で重々ご理解いただいているとは思いますけれども、それでもやっぱり指導していますでは足りないと思うんです。
実際、杉並区の中学校で、テレビを2時間以上見させている子ども、その学力は保証しないということを全校生徒に配っているんです。これぐらいやっていいんじゃないかと思うんですよ。教育長がやると言えば、これは絶対全部の学校でできるんですから、どうですか。そこまでやりましょうよということについてお聞かせいただきたいのと、もう1つ、やっぱりそれでも学校や教育委員会でそういった活動をするのは難しいということであれば、そうじゃない団体が家庭にご協力を求めていくという働きかけをするような活動があったとしたら、それは教育委員会としては全面的に応援するつもりがあるのかどうか、この2点についてお聞かせください。

◎教育長(山田雄三) 新井議員さんが言われていることはよく理解します。ただ、私が一斉に2時間以上テレビを見たら保証しないというふうに全校に学校だよりの1面で書けというところまでは、まだどうかなと思います。そういうのも含めて、今回9月補正で出しておりますが、教育委員会の取り組みとしては、小中一貫教育のカリキュラムの中に、規範意識ですとか、食育の推進、こういうものを取り上げております。こういうふうなことで基本的な生活習慣の確立が少しでも前進すればというふうに思っております。
ただ、いずれにしても、そういうことをやる団体だとか、そういうものについては協力していきたいと思います。新井議員さんが言われることは、校長先生もよく言っていただいたと思うんじゃないかと思いますが。
以上です。

◆12番(新井克尚) それでは、さらにお願いをしやすいように私も努力をしていきたいと思います。
睡眠の効果について、そういった意味ではぜひこの資料を活用していただきたいと思いますね。
Gのグラフをごらんください。Gの表ですね。わかりやすいですね。国語、算数、4時間しか寝ていない子どもは平均点が53.1、寝れば寝るほど徐々に徐々に上がっていって、7、8、9時間寝ていると大体73から74、算数は77点台。しかし、9時間以上寝るとまた落ちてくるという落ちがついているんですよね、このグラフは。ぜひこの7時間から8時間の睡眠確保が重要だというのは、こういうのを見れば一発でわかると思うんですよね。だから寝かせてくださいと。睡眠時間が短い、削っちゃっていると成績が落ちますよ。保証できないですよ。授業時間にぼうっとしちゃうんだから、それは無理でしょう。こういうのをどんどん活用していただきたいと思うんですよ。
実際、私、東大出身の友人何人かに聞いてみたんですけれども、夜は早く寝ろと言われたそうなんですね。不思議なもんですね、これは。やっぱり寝る時間は確保させたらしいんですよ。
次に、食事の重要性についてお話をしたいと思います。
朝御飯に関しては先ほどからもずっと出ているのであれですけれども、一応グラフのH、I、こちらを見ていただければ、これも一発ですね。体力も学力も、朝食をとっていると高いということが、もう一目でわかります。だから朝食をとるのは重要なんですよ。ぜひこのデータも活用してください。
そして、もう1つ興味深いデータがあるんです。隣ですね。Jのデータ、これは「一食あたりの摂取食品数と学習成績および5教科学力テスト偏差値」です。食品数3.9以下、偏差値が低い、平均以下。しかし、6を超えると平均を超え、12以上だと平均が物すごく高くなっている。とる食品の品目数で成績がここまで違うということがはっきりあらわれているんですね。これは東京都中野区の公立中学校で長年にわたり中学生の食生活について研究をしてこられた広瀬正義先生のとられたデータなんですけれども、食事が貧しいと成績も貧しい、だからこそ朝食でたくさんの品目をとらせてください。こういったことを校長会で配っていただいてもいいですし、実際、校長先生が生徒に配るときに、こういうのも活用していただければ、より説得力のある学校だよりになるのかなというふうにも思いますので、こういったデータをぜひご活用いただければと思います。
また、町田市としてもこういった生活習慣のデータをとるべきだと思います。テレビの視聴時間、就寝時間、睡眠時間、起床時間、朝食の有無、摂取食品数など、こういったものをとって、そしてデータとして示していく必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、この点についてどうお考えでしょうか、お聞かせください。

◎教育長(山田雄三) この資料については活用させていただきたいと思います。ただ、これを見ると、やはり睡眠時間だとか栄養だとか、正直言いまして、本当に家庭の協力なくしてはできないことだと思います。ただ、摂取食品数、こういうのを調査しろと言われても、これもさっきお話ししましたが、家庭の問題がありますから、配慮しないと簡単にやっていいのかなというのはございます。アンケート調査でも、やりますと、中には何でそこまで踏み込んでやるんだというのが確実にありますので、これは資料として出ているものですから活用はさせていただきたいと思います。

◆12番(新井克尚) なぜこんなことをやるのか、子どもを伸ばすためです。簡単じゃないですか。子どもを健やかに成長させるために、家でどういうことになっているのか、こういったデータも必要なんですということを伝えていただければ、全部が全部は難しいかもしれないですけれども、今よりは多くの方にご理解をいただけるんじゃないかなというふうに思います。これは一番大事なのは説明することなんですよ。なぜやるのか。
実際、県外の小学校にお子さんを通わせているお母さんとお話をしたんですけれども、生活アンケートが来た。何だかわからないから、覚えていないんだけれども、多分この日はこうだっただろうなという感じで○とか×とかつけていたらしいんですね。何でこれをとるのかが説明できていない。理解していただいていないと、せっかくとったデータも全く無意味になってしまいますので、とれるとれない、なかなか難しい判断があると思いますけれども、子どもの成長のために必要なデータはとっていただく中で、ぜひこういったことも配慮をしていただきたいというふうにお願いをいたします。
そしてもう1つ、データをとることで重要なのが、私は学力のデータをとる必要もあるのではないかというふうに考えております。
日本の公立学校で学力をしっかりと向上させ、有名になった学校があります。広島県尾道市立土堂小学校です。今はもうかわってしまいましたけれども、有名になった当時の校長が、ご勇退された佐藤常雄議員も質問で取り上げていた陰山英男さん、有名な方ですね。この学校の取り組みは決して特殊なものではなく、どこの学校でもできるということです。非常に残念なことは、100升計算だけが有名になってしまったこと。まるで100升計算をすれば学力が上がるかのような幻想がありますけれども、それは間違いだと。
原点は読み・書き・計算ではなく、児童の生活アンケートにあったということをおっしゃられていました。この生活習慣をまずきっちりさせることですべてのベースができ上がる。これを徹底させずに授業でどんな工夫をしたところで効果が薄いということを実感をされたために、この生活習慣のデータもたくさんとられたそうです。これは今まで示したデータでもご理解をいただけるものと思います。
そして、もう1つ学力の方ですね。学力向上のプログラムを組みました、新しい試みをしてみました、その結果をどうやって判断をするのか、ここがポイントですね。または効果があったと結論づけるために、これは説得力のあるデータがなく、ううん、上がったんじゃないですかね、これではやっぱりだめだと思うんですよね。学力調査は小5の次が中2というお話を聞いていますけれども、これだけ間があったら、小5でとった後、中2、もう学年も違いますし、やっていることも違う。やったことの成果が出たのかが見えないわけですよ。
見える学力、すなわち知識というのを調査するのは、差別とか序列化とかいろんな批判があったということももちろん知っています。しかし、データをとらずにどうやって対策を打つのか、ここは非常に重要だと思うんですよ。学力調査の結果は、差別や序列化のためではなくて、現場の教育に反映させるためにとるべきだと私は考えます。
もちろん、だからデータをとるということは教員に責任も生まれます。その責任を果たすことは、イコール子どもを伸ばすためということですから、現場の教員は喜んで賛同していただけることと私は信じております。
資料のKとLをごらんください。生活習慣を改善させた上で基礎基本を反復したらこうなった。それがこの表とグラフです。一目で子どもが伸びているのがわかります。これはこの指導法が正しかったということを証明するデータでもあるわけです。こういったデータは町田でも恐らくとることはできると思うんです。
なのでお伺いをいたします。学力が上がったかどうか、客観的に見る偏差値とかIQなどいろいろな方法があると思いますけれども、こういった客観的に見られるデータを定期的にとるべきだと考えますが、いかがでしょうか。お聞かせください。

◎教育長(山田雄三) それから、先ほどの生活習慣についての調査だと思いますが、それについては、これから小中一貫教育で食育カリキュラム等を予定しておりますが、そういう中できのうもお答えいたしましたが、生活習慣に関する幾つかの項目について調査を行う予定です。どういう調査を行うかについては、カリキュラムの作成委員会で協議をして決めていきたいというふうに考えております。
それから、ただいまの学力の評価でしょうか、そのことですが、今もご紹介があったと思いますが、東京都の児童生徒の学力を向上するための調査ということで、小学校5年生、中学2年生、この1月にもやりました。それから今後、文部科学省でも学力調査については予定をしております。現在各学校で指導している学習内容についての理解状況だとか、定着状況をはかるものというふうなことで、そういった観点から、各学校では一定の学習の内容を終えた時点で、ワークテストですとか、小テストですとか、確認テスト、こういうふうなものも行っておりまして、学習内容の理解ですとか、定着の度合いが高まっただとか、そういうことについては各学校で細かく確認だとか検証をしているというのが実態でございます。
以上でございます。

◆12番(新井克尚) データをとった結果、こういった形で出てくると、ああ、子どもは伸びたんだなとわかるんですよ。私は、ぜひこういう形で出せるようにしていただきたいなというふうに思います。
そして、学力についてちょっと、たくさん項目がありましたね。意欲とかなんとかとか、そういったものも学力に含まれるという話だったんですけれども、確かに文部科学省はいろいろ言っているかもしれませんが、一番わかりやすい学力は、私はこれなんじゃないかなというふうに思うんですよ。実際、その意欲がなかったら、学力というか、勉強はできないと思うんですね。意欲を学力の中に入れているのは、私はちょっとよくわからない話だなと思うんですよ。
実際、壇上で取り上げた平成14年12月13日の文部科学省の調査結果について、苅谷剛彦東大教授は、学力低下は明白。この10年間、子どもたちの関心、意欲、態度を重視する指導に偏り、知識、理解を軽視した結果であると指摘されています。
やっぱり知識とか理解とか、そういったところをしっかりととらえていかなきゃいけない。意欲を学力に入れて、そこを上げようとすれば、それは私は順序が逆になってくるのかな。勉強が楽しいから意欲が出てくる、そして学力も上がる。意欲を上げようと頑張るというのは、自分が伸びていることを実感する前に、まず意欲を上げろという話ですから、これは指導するのは難しいんじゃないかなというふうに思うんですよ。
最近、学力というか、能力ですね。東北大学の川島隆太教授さんという方が非常に有名になっています。実際、この町田の議会の中でも脳トレをやっている方がいらっしゃるという話を伺いましたけれども、こういった能力を上げるということが非常に重要になってくると。これはパソコンに例えてみますと、今まではハードディスク、記憶媒体にどれだけのデータを入れることができるか、これが学力だったと。でも、それは違うね、それで意欲とかなんとかと出てきたという話なんですけれども、私は意欲というのはパソコンが動くかどうかだと思うんですよ。動作はして当たり前だと。
その上で、じゃ、何をもって学力とするのか、これはCPU、中央演算装置がどれだけ速い処理速度で物を処理できるか、ここが一番重要なんじゃないか。そして今までIQというのは上げることはできないと言われていましたけれども、実際このOとPのグラフを見ていただければわかるとおり、Oのグラフは物すごく高いんですよ。Pのグラフが標準です。正常値が100、土堂小学校は100未満が約1割ですね。120以上が42%いるんですよ。物すごく上がっているんですね。まさしくこのCPUをいかに鍛えるかという、そういう学力を伸ばす授業をやった結果、ここまでの結果を出すことができたということなんです。
実際その学力が上がった授業のやり方というのは、先ほどお話をしたモジュール授業ですね。これをうまく活用されたんです。町田では新しい取り組みをまたされようと、英語が入ってきたりするということで、今まで授業時間というのはずっと変わっていないわけで、そこで新しいものを入れてくるということは、何かを削って新しいものを入れるわけですから、より一層努力をしていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うんです。
そこで、学力を上げるためにいろんなやり方があるという話があるんです。例えばヨーロッパでは、休み時間を利用して子どもたちはダーツをやっていると。ダーツというのは自分たちで計算をしなきゃいけないので計算能力が高まるというんですね。実際、ここの町田市議会でも能力を上げるためにダーツに取り組んでいる方がたくさんいらっしゃるという話を聞いたんですけれども、ただ、機械で計算するものはだめですよ。
話を戻して、モジュール授業ですけれども、このモジュール授業はなぜ失敗をしたのか。今までの話を総合していくと、これは簡単な話だと思うんですよ。生活習慣の基礎基本ができていないで反復計算をやれば嫌がられるんです。短時間で集中して勉強させようとしても成果が出ないのは、私は当然だと思うんですよ。まず家庭にご協力をいただいて生活習慣をきっちりとさせた上で、このモジュール授業をやったのが、先ほどお話をしたKとかLのグラフでぐんと上がっている、この子どもたちの学力の伸びです。IQの分布、O、こちらを見ていただければわかるとおりです。
実際、このモジュール授業をやって、いや、家でも宿題をたっぷりやっているんじゃないのという批判が起きたそうですが、Nを見てください。家庭学習はそんなに長くないんです。M、テレビも見ていない、早く寝ている、だからこそここまで伸びたということなんですね。
このモジュール授業、モジュールというのは何という方がもしかしたらいらっしゃるかもしれないので。1時間の授業45分を15分ずつに分けるんです。それを3日間に分けると、15分、15分、15分になりますよね。その3日間の15分を合わせて1時間というふうに考えるのがモジュール授業なんです。今まではゆっくり丁寧に教えることが大事だと言われていましたけれども、短時間に集中してテンポよく教えるとここまで成績が上がるということが、このモジュール授業で実践をされたということなんです。
このグラフを見ていただければ一目瞭然なわけですよ。こういったモジュール授業の取り組み、これは成功例ですから、今やっているところも含め、やっていたけれども、ちょっとうまくいかないからやめちゃったところも含め、ぜひもう1度このモジュール授業、いいやり方を研究する必要があるのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょう。お考えをお聞かせください。

◎教育長(山田雄三) いろいろなグラフだとか、そういうお話がありましたので一遍に頭に入らないんですが、頭に入ったのとしては、川島隆太さんのは、私も正月に孫が遊びに来まして、1万幾らで買いました。だけれども、三日何とかで今は使っていません。
ところで、モジュール授業の話ですが、土堂小の偏差値の推移だとか、そういうことで、確かに家庭での影響があると思います。モジュール授業は朝やるわけですから、前日、睡眠時間が短くて、朝御飯を食べてこなければ、朝、脳が働かないわけですから、そういう意味では、家庭の生活習慣だとか、そういうものが影響するというのはよくわかります。
モジュールの云々ですが、先ほど最初の方でお答えをしましたが、今ご説明があったとおり、モジュール15分ずつ、3回やれば45分で、小学校の場合は45分が1つのこまですから数えられますが、朝、例えば10分だとか15分、モジュールではなくて授業時数に数えない中でやっている学校もあるわけですから、教育委員会として、モジュールをやりなさいということにはならないと思うんです。これはあくまでも学校の判断、それから45分の授業の中で最初の10分、15分を、例えば先ほどご紹介があった陰山先生の100升計算でしょうか、そういう計算をするだとか、それはいろいろな方法があろうかと思います。
ただ、いずれにしても、そういうものを含めて、いい例についてはぜひ紹介をしていきたいと思います。今回のこれはすぐれた実践例だと思いますので、紹介はさせていただきたいと思います。

◆12番(新井克尚) その川島隆太教授も言っていたのは、脳を活性化するのが音読と単純計算ですね。これをやることで脳が活性化をして能力が上がるという話で、まさしく陰山さんは、45分の頭15分を音読させて、私も今これだけしゃべってかっかしていますけれども、物すごく集中しているわけですよ。その集中したときに単純計算にすぱんと入るわけですね。
これは驚いた結果が、学習障がいの女の子が、クラスでずっとテストも最下位で、1学期にやったことを夏休みに復習をして、2学期にやったことを冬休みに復習して、3学期にやったことを春休みに復習して、ずっと親御さんがつきっきりで勉強を教えてやっと追いつけるかどうかというお子さんが、高学年になって、それではもう追いつけなくなってきた。もうすがる思いでこういう実践をしたところ、100升割り算というのをやっていたんですけれども、30分かかっていたのが、何と5分を切るようになった。物すごく計算力がアップをして、最終的にクラスでトップになって、結果、ねたまれていじめられちゃったので私立を受験したそうなんですけれども、今それで受験をした学校で成績はトップだそうです。学校に入った時点で学習障がいだと言われていた子どもが、最下位だった子がこの実践でそこまで上がったんですよ。
音読15分の後、単純な計算をして、陰山さんのところは、最後の15分は教師裁量ということで、金子議員が質問されていた英語に関してもやっていたりするらしいんですよ。もちろん電子黒板を使ってですね。なぞったところをやると、発音がネイティブで出るらしいんですね。すごい便利らしいので、小中学校一貫教育推進授業の中にも英語教育は入っているそうなので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。藤井弘之さんという方が「英語への挑戦」ということで本も出されていると。ぜひ研究をしていただきたいと思いますけれども、こういった形で週3日間、単純な読み・書き・計算を3時間やるということで脳が活性化した結果が、このグラフであるということをぜひお伝えをいただきたいというふうに思います。
では、漢字検定の話をさせていただきました。この中にはちょっと載せていないんですけれども、漢字もすごいんですね。何がすごいかというと、漢字検定、学校を挙げて受けて合格率97%だったそうです。これはノートルダム学院という京都にある私立の小学校と同じレベルに3年間で達したということでした。このノートルダム学院小学校は、もちろんお受験をして入る学校です。平成13年度から漢検を団体受検して、平成13年、14年度は当時小学校として最優秀の賞であった最優秀団体賞を受賞し、平成15年度に文部科学大臣奨励賞が新設されてからは、平成15年度、16年度、17年度と3年連続で全国の小学校1位という賞を受賞している学校に3年間で並んだそうなんです。一体どんな指導法をしていたのか。
やっぱり母国語は大事だと。文章題を読むにも、漢字につまずいて読めなくて問題が解けない。これじゃだめだと。まず基礎基本である母国語をしっかりやろうということで漢字教育にかなり力を入れられたそうです。中学年以上では、漢字学習を前倒しでやっていたと。集中して、集約して学習していたそうです。これは物すごく覚える能力を向上させているらしいです。具体的に言うと、各学期ごとに覚えるのではなく、1学期はここまで、2学期はここまで、3学期はここまで、大体そうだと思うんですけれども、そうではなく、1年分を2週間とか3週間とかで全部やっちゃうそうなんです。確かに雑です。全部は答えられない。残りの時間を全部反復に使うので、あっという間にできるようになるそうなんですよ。これはまさしくゆっくり丁寧ではなく、短期間で集中してやることで漢字を覚えさせるということが、この漢字検定97%の合格につながったということだそうなんです。
ですので、こういった漢字の学習方法もぜひご紹介をいただいた上で、各学校で漢字検定を受けて、どこがよかったかなんて競えるようになって、町田は漢字がすごい地域だねと言われるようになったらいいななんて私は思うんですが、その件についてご意見をお聞かせいただけますでしょうか。

◎教育長(山田雄三) 漢字につきましては、教科の学習としての国語において、表現力だとか、理解力だとか、そういう基礎になるものですから、その漢字の習得というのは基礎学力の定着という意味においても大変重要なものであるというふうに思っております。
ただ、漢字能力検定協会でしょうか、それについては、やはりあくまでも教育課程外のことですので、これは各学校の判断で希望する児童生徒が受験ということになろうかと思います。ただ、そういうすぐれた例については紹介はさせていただきたいと思います。

◆12番(新井克尚) すばらしい学習プログラムを入れました。その結果、どうなったのか、ここをやっぱり評価しなきゃいけないと思うんですよ。その1つの評価指標として、漢字検定のお話をさせていただきました。
要は、いいことはやったけれども、じゃ、どうなったのというのが全然見えてこないんですよね。子どもが伸びたんだったら、伸びたということを自分の中で見るのもそうかもしれないですけれども、全体の中でどうだったか。教員もやっぱりそういったデータを見て、うちはここが足りないんだなというのがわかってくると思うんですよ。ぜひいいプログラムはやるけれども、データはとらないとか、それはわからない、見えてこないではなく、そこを見えるようにした上でさらに対策を打つようにシステムをつくっていっていただきたいなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

◎教育長(山田雄三) 今、漢字検定に絞って言えば、漢字検定の結果は学校がどう把握しているかですが、結果については、希望者ですから、学校を経由して本人に返されるということです。したがって、学校は何級に何人が合格しただとか、そういうことについては把握をしております。全体としての比較というんでしょうか、そういうものはとらえているということでございます。
あと、質問は……。(「データをちゃんととって、システムをつくってほしい……」と呼ぶ者あり)そういう意味で、漢字検定に限っていえば、そういうことで本人に返しちゃうものということですので、ただ、本人に返して、学校としては何級に何人受かりました、受かったということを把握できるということでございます。

◆12番(新井克尚) それでは、ちょっとまとめの方に入っていきたいと思います。
モジュール授業について、いい取り組みはどんどん伝えていきますというお話をいただきましたが、これは実際どういう授業をやっているか見るのが一番いいのかなというふうに思います。何でしたっけ、情報を共有する、映像を共有するみたいな授業をやっていますよね。そのモジュールの映像を持っていますので、必要だったら言ってください。
このモジュール授業は、やり方は確かにいろいろあると思うんですけれども、もちろんモジュールを導入するところは初めてやるわけですから混乱はすると思うんですけれども、大体新任の教員でも半年あればできるようになるそうです。脳のパワーそのものを引き出すということで、知識を詰め込むのではなく、本人がどう伸びたかを判断しなきゃいけないので、これは教員も子どもを見る目が非常に養われるということをおっしゃっていました。子どもも自分のことをしっかり見られているなというのは感じるようなので、信頼関係が非常に生まれるということで、集中する授業の環境もつくれるということで、非常に絶賛をされていました。
このモジュール授業、ほかにやっている学校を幾つか挙げますと、土堂小学校以外に、高知県室戸市の三高小学校、これは図のQにその取り組みを挙げてみました。もちろん生活習慣についても取り組んだ上でモジュール授業をされていらっしゃいます。そして、福岡県水巻町立猪熊小学校、そして山口県山陽小野田市では、これは教育委員会が主導で全校の取り組みとしてやっているそうです。ぜひこういったところのデータも集めて参考にしていただければというふうに思います。
今までいろいろとお話をさせていただきました。早寝、早起き、きちんとした朝御飯。子どもにとっては当たり前のことだと。この子どもにとって当たり前のことがなかなか難しい。家ではできていない。だから教員も、現場も苦労しているというふうに思います。テレビやゲーム、パソコンのある個室を与えて放任主義、食事はファーストフードとかスナック菓子で、夜10時を過ぎて外出してもとがめない。こういったことでは、きちんとした勉強はできず、学力はもちろん向上することはない。生活習慣が乱れている家庭で生活習慣をまず確立させるのが第一、そしてモジュールなどを活用した基礎基本の徹底、こういった取り組みを実際できるところからやりましょうではなく、一気に全部やったことで、こういった短期間で子どもの能力を伸ばすことができたということでございます。
こういった取り組みは、成功していると評価されながらも、やっぱりなかなか全国に広がっていかないという悩みをおっしゃられていました。いいことはわかるんだけれども、うちはなかなか導入するのはねというようなことが多いようなんです。こういったところにやっぱり日本の広域教育のシステムの抱える問題があるのかなというふうには思うんですけれども、今回の提案、教育長からは校長会でもしっかりと伝えていきますというようなお話をしていただきました。非常にありがたいお話ではあるんですが、もう少し欲張って、お伝えをするだけではなく、積極的に取り入れていってほしいということはやっぱり言っていただけないのかどうか、この教育長の姿勢をぜひお聞かせをいただければと思います。

◎教育長(山田雄三) 新井議員さんのに限らず、議会の一般質問で学校教育に関することについては校長会で必ずお伝えをしております。日にちもないんですが、今度は21日ですから、それまでに要旨ということでまとめ、正確には議事録を見ていただくしかないんですが、いずれにしても紹介をさせていただいて、それを積極的に取り入れるかどうかは、また学校の判断だと思います。教育委員会が、今ははしの上げおろしから何まで指示するということでは正直言ってございません。そのかわり、校長は権限がありますから、権限があるかわりに裏返しとして義務があるわけですが、ご紹介をさせていただいて、それを積極的に取り入れたいというものについては、教育委員会としては支援をしていきたいというふうに考ます。

◆12番(新井克尚) 通告では市長にも丸をつけておりました。特になければ別に構わないんですけれども、市長のお考え、あと教育委員長も、もしお話があればお聞かせをいただければと思います。よろしくお願いします。

◎市長(石阪丈一) 本来の議論は教育委員に対するご提案というふうに、先ほどから受けとめておりました。学校経営全体、40とか60とかいうものに現実の責任を持っている教育長、あるいは教育指導主事としては、ちょっと重たい議論なのかなというふうに感じておりました。
それともう1つは、これは学校、病院、市役所、企業、みんな同じだと思いますが、経営理念の問題だと思っています。重要なのは6項目ぐらいありまして、一番重要なのはトップ、この場合は教育委員長とか教育長なんですが、リーダーの明快なリーダーシップ、それが表現されているかどうかということ、これは強制ではなくて、どういう物の考え方をしているかということが校長と教員に伝わっているかどうかということが一番重要なんですね。それが欠けていれば、次の項目もできない。次の項目は何かというと、地域に支えられているかどうか。その次の項目は、全体の仕事のプロセスが協調、つまりアコードというか、PTAとか教員とか児童とか、ちゃんとお互いに民主的にプロセスができているか。そして今お話のあった、投入されている技術が高いものがあるかどうか、それが4番目。そして、ITを使ったデータの活用がされているか、これが5番目。最後に、これらの成果を表現できる指標が設定されているかどうか、これもお話になりました。
これらすべてをきちんと実行するということが全体の経営の手法の中に確立されている。これが、実はこれは借りてきたものなんですが、経営品質の物の考え方で、それは病院でも学校でも市役所でも企業でも全く同じ項目です。そのことをきちんとやるということが一番大切で、もう1度繰り返しますが、リーダーが明快なメッセージを教育について出しているかどうか、そこが一番重要だというふうに思っております。すぐにはできないことだと思いますが、私自身の立場で言えば、市長としてもそういうことが必要だろうというふうに思っています。
以上です。

◎教育委員長(富川快雄) あと1分しかございませんので。新井議員さんから大変具体的な、しかも説得力のある提案だとかデータを見せていただきました。しかし、私は、それを伺いながら、まずその一番ベースにあることは生活習慣の確立であるというふうに受けとめております。やはりまずそこらあたりからきちんとした対応をしていきたい。
具体的には、先ほど教育長からの答弁があったわけですけれども、力強いメッセージを校長会等を通して進めていきたい、こんなふうに受けとめました。どうもありがとうございました。
以上でございます。

◆12番(新井克尚) ありがとうございました。
私も、これからも子どもたちの未来のために全力で頑張ってまいりたいと思います。本日、いろいろな答弁をいただきましてありがとうございました。
以上でございます。

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