[ 平成19年 9月定例会(第3回)-09月07日-02号 ]
1、災害発生時の対応について
2、行政評価制度、事務事業カルテのあり方について
◆12番(新井克尚) 通告に基づき一般質問を行います。
表題1、災害発生時の対応について。
平成16年の新潟県中越大地震では48人の方が亡くなりました。激震による直接死13人のほかに震災関連死と見られる死亡がありました。ショック死、急性心不全、急性心筋梗塞、クモ膜下出血、脳内出血などで地震の2日目、3日目等に亡くなったのです。それ以外の原因で亡くなられた方の話は皆様方もご存じのことと思います。
阪神・淡路大震災でもありましたが、新潟県中越大地震でも、トイレに行くことを控えたため、水分をとらないようにする人たちがいました。新聞ではエコノミークラス症候群で死者が出たことが、仮設トイレ不足を絡めて報道をされました。エコノミークラス症候群の疑いがあるとされた死者か地震発生から6日目の28日に初めて出ましたが、7日目の29日にも2人目の死者が出ました。48歳の女性で車中泊者だったのですが、水分不足の絡みからトイレの問題の深刻さが強調されていました。
平成16年10月31日の朝日新聞の記事には、エコノミークラス症候群の主要因は、水分を十分にとらず、血液が濃縮された状態になること、阪神・淡路大震災の経験でも、困ったのは食べ物よりトイレ、簡易トイレの設置は何より急ぐべきだし、被災者は水分の摂取は不可欠と心にとどめてほしいとの談話がありました。
食事を控えるのはいいとしても、飲料水を飲まない、我慢するというのは阪神・淡路大震災でも深刻だったのですが、残念ながら中越地震ではその教訓は生かされませんでした。水分や食事をとらないようにすることは、つまり、トイレが不自由だから排せつをコントロールしたいとの一心でのことです。このこと1つをとってもトイレ問題は生存権にかかわる大変重要なことだということがわかります。
ちなみに、新潟県の調査では、車中泊生活者11人が肺塞栓症を起こし、うち4人が死亡をしたそうです。平成16年11月14日の読売新聞の報道によると、小千谷市の避難所で診察した医師は、ほかにも数人が発症をしていた、さらに、寒さと余震で何人もの家族が1台の車で窮屈な生活をしたことや、震災直後は水が行き渡らず、トイレも未整備で脱水症状が起きたと分析し、3日以上の車中泊は危険と強調をしていました。
肺塞栓症の研究会によるエコノミークラス症候群の予防提言の1つには、予防には水分を十分とって脱水を避け、足の運動をすると指摘しており、緊急避難時に水分の補給に見合うトイレの緊急配備が欠かせないということは先ほど申し上げたとおりでございます。
しかし、中越地震ではその教訓が生かされることがなかったということが、避難者がピーク時に10万3,178人、避難所数が498カ所でしたので、地震から4日目の10月26日の夕方でも仮設トイレの搬送、設置の作業が続いていたということです。
その同じ26日に共同通信社が避難所で130人にアンケート調査を行いました。この中で避難所の改善を要望する項目については、トイレの改善をしてほしいという声が55.9%に上り、約6割の避難者がトイレに困っているということが判明をしました。その後行われた面接による具体的な声としては、トイレが不衛生だ、トイレにはいつも行列ができている、トイレの数をふやしてほしい、足が悪いので洋式トイレにしてほしいという意見が日本経済新聞、東京新聞でまとめられておりました。
市民の生命と財産を守るのはまさしく行政の仕事です。震災で被害に遭い、避難所生活を送ったがために亡くなられるということは絶対に防がなければなりません。この阪神・淡路大震災、そして中越地震での教訓を生かし、いつ起こるかわからない震災に対し備えるために質問をいたします。
(1)避難所災害用仮設トイレの整備状況は。以前、各校4つずつ整備する計画ですという話がありましたが、現在の状況をお聞かせください。
続いて、(2)より多くのトイレを設置できる体制を整えるべきと考えるがいかがか。本日配付をしております資料をごらんをいただきたいと思います。写真が3つと図面が1つ、そして裏面には設計図のようなものが載っておりますけれども、これは渋谷区内の小学校に整備をされている避難所災害用の仮設トイレです。小学校の15校の校庭改修事業にあわせて、1避難所当たり10基、こちらの図面にあるものが5つあるんですけれども、これが2列あって、トータル10基ということで標準とし、災害用仮設トイレの整備を進めているそうです。各避難所とも下水道直結の流下型トイレの整備を原則とし、物理的に困難な場合はピット式の汚水ポンプによる下水道への排水型を採用をしています。
写真を見ていただければわかるとおり、マンホールそのものが和式便器となっております。マンホールの上に洋式便器の設置も可能なため、上にテントを張るだけで簡単に利用ができます。目隠しとなるテント、こちらに写真がありますけれども、ワンタッチで設置にわずか5分程度で完成をするということで、一般的に使われるくみ取り式の従来型の仮設トイレは設置に40分もかかっていたので、こちらの方式と比べると、その差は歴然とのことでした。
このシステムは耐震補強工事が済んだ下水道本管に直接流し込むもので、くみ取り等の手間が省けます。新潟県中越地方を襲った地震災害の避難所生活で一番不評で困窮をきわめたのがくみ取り式の仮設トイレであり、その多くがあふれ出た汚物の処理ができずに放置されたことによるものであったということを受け、渋谷区が他の自治体に先駆け設置をしたものであるとのことでした。
くみ取り式の場合、例えば道路事情が悪かった場合、壁が崩れていたり、道路が崩壊していたりした場合に、そのくみ取りのポンプ車が来ることはできません。ということは、そのくみ取りのトイレの中に汚物がたまってしまう。そうすると、それ以上はできないということももちろん想定されるわけです。リスクを分散するということは絶対にしなければならないということで、この渋谷区のトイレは下水道本管に直接流し込むという方式も採用しているということでございます。
テントを含め工事にかかる費用は1校当たり約750万円と決して安価ではありませんが、市民の生命を守るという意味では必要な投資であると私は考えます。特に今現在、新設校の計画もあるわけですから、計画の段階からこういった方式を入れることで、いつ来るかわからない災害に備えていくべきであると考えますが、いかがでしょうか、市長の見解をお聞かせください。
(3)情報収集・連絡体制はどのようになっているのか。災害が起きたときに非常に重要なのが情報の収集です。どの地域でどのような被害が出ていて、どの避難所にどれだけの方が避難をしていて、病人は、その症状は、けが人はどうか、どういったけがなのか、必要な物資は何かなどなど、状況を正確に把握し、いかに迅速に対応できるかが問われます。
そこで、お伺いいたします。その状況を把握するために情報収集、連絡体制はどのようになっていますでしょうか、災害用緊急電話が恐らく基本になるのではないかと思います。普通の電話回線ではありますが、災害時には優先的につながるという内容のものでございます。その緊急電話は、避難所に指定されている学校であれば、学校の中のどこにあるのかが1つ、もし電話線が切れ、通じなくなってしまった場合の連絡体制はどのようになっているのかが1つ、以上2点をお聞かせください。
(4)体育館の設備は現状のままでよいのか。災害はいつ起こるかわかりません。ということは、気温が涼しく過ごしやすいときに来るとは限りません。寒い冬に起こるかもしれませんし、暑い夏に起こるかもしれません。今回の質問では暑い夏に災害が起きたことを想定し、その際に起こり得ることから改善を求めるものです。
学校の体育館は、子どもたちの運動の場、地域の方がスポーツをする場であると同時に、災害が発生したときには避難所として非常に重要な役割を果たすということは言うまでもありません。
例えばの話、暑い夏に災害が起こりました。多くの方が体育館に避難をされました。体育館の温度は35度、当日は光化学スモッグが出ており、窓をあけることはできません。トイレも長い行列ができ、水分をとる気にもなりません。となると、どういうことが起こると予想されるでしょうか。(「熱中症」と呼ぶ者あり)熱中症、そのとおり。これは本当に最悪のシナリオかもしれませんが、こういった状況は全くあり得ない話ではありません。ここまでいかなかったとしても、高齢者の方には体力的にも非常にきつい環境になるのではないでしょうか。温暖化が進み、年々暑くなっているような状況で、これから先、これ以上暑くならないと断言をすることはできません。
繰り返しますが、学校の体育館は、子どもたちの運動の場、地域の方がスポーツをする場であると同時に、災害が発生したときには避難所として非常に重要な役割を果たします。災害に遭われ、避難された方が避難所で命を落とすということは絶対に防がなければなりません。体育館に避難されている方の熱中症を予防するのに必要なことは、まずしっかりとトイレを整備し、水分をとれる体制をつくることであるということは、先ほど主張したことに直結をいたします。
もう1つは、体育館の設備または構造自体を変えなければいけないと私は考えます。考えつくことはクーラーの設置ですが、確かに環境に優しくない。外気温をさらに上げるなど、いろいろ問題点があることはわかっておりますが、それが理由で設置をせずに被災者の方が命を落としたのでは元も子もありません。そして、クーラーだけではなく、扇風機を併用し、空気を循環させるだけでも違う。そしてコストも抑えられると専門家は言っておりました。
先日、町田市では、部活動をしていたお子さんが熱中症で倒れ、亡くなられるという非常に悲しいことが起こりました。運動していたからとはいえ、それほど体育館は外気温の影響を受け、熱がこもりやすいということではないでしょうか。町田三中の件を受け、部活をする上でも何らかの改善が必要と考え、検討委員会がこれから設置をされ、改善案を出していくということでありますが、避難所として考えても、熱中症を防ぐために体育館に何らかの改善が必要であると考えますが、いかがでしょうか、市長の見解をお聞かせください。
続きまして、表題2、行政評価制度、事務事業カルテのあり方についてでございます。
組織には根深くしみついた体質があります。これはそう簡単には変わるものではありません。しかし、企業でも行政でも常に改革が求められているということは言うまでもありません。企業で見てみますと、改革には成功しましたが、体質は変えられなかった。その企業の代表が恐らく日産自動車ではないかと思います。業績が低迷した日産が、内部の人間ではコストカットができないということで、ルノーでコストカッターの異名がついたカルロス・ゴーン氏が最高執行責任者に就任し、氏の改革で日産は業績が回復、ゴーン改革はもてはやされました。
もともと力のある企業ですから、悪い部分を取り除けばいい部分が出てくるのは当然のことです。確かに日産はよくなったし、眠っていた力を引き出したという点では、ゴーン社長の改革はある程度の成果を出したのは間違いありません。しかし、人員の削減やなれ合いでの取引をやめたことでのコストカットの効果がなくなると、次の一手が出ずに行き詰まってしまっています。特に車の開発や営業で強力なトヨタやホンダと戦うための一手が見えません。根本的な体質の転換ができていないことこそがゴーン改革の落とし穴であったとも言われております。体質を変えるのは業績を変えるよりもはるかに難しく、時間のかかる作業であるということを示しました。
それに対し、企業の体質転換を見事に果たした例として有名なのが花王とキヤノンです。花王の場合は、実験の鬼、仕事師と呼ばれた丸田芳郎氏が1971年の社長就任から20年近くトップに君臨し、合理的な考え方を徹底的に導入し、体質を変えました。キヤノンの場合も、1977年から1997年まで社長と会長を務めた賀来龍三郎氏が大胆に経営改革を推進して高収益体質に転換し、それを現在の御手洗冨士夫会長が引き継いで世界的な企業へと発展をしました。
丸田氏と賀来氏には共通点があります。徹底的なリストラを行ったゴーン社長を外科手術型の経営者とすれば、2人は漢方薬型の経営者と言えます。漢方薬型の経営者は切った、張ったの荒治療を極力避けて、企業を内側からじわじわと改革をします。そういう治療を何年も続けていくことでようやく体質が変わってきます。トップの考えが理解され、浸透し、全面的に実行されるまでには時間がかかるのは当たり前のことです。それを焦り、単純な数字の変化だけを求める改革者は本質を変えることはできません。本物の経営者、一流の経営者は、目の前の業績を変えるのではなく、人材や体質を変えてきたということです。
長々とお話をしましたが、何が言いたいのかと申しますと、今、石阪市長がやっている改革こそがこの漢方薬型の改革であると私は考えます。私が当選1回目に一般質問をしたインセンティブ制度の導入は、当時、以前導入したが、町田にはそぐわなかったという話を聞き、実際の答弁も、現段階ではインセンティブ方式というのは考えておりませんというものでしたが、石阪市長就任後、この制度は当たり前のようにすぐに導入されました。ほかにも部長の仕事目標や人事給与の制度と人事考課の制度設計、このたび報告がありました中期経営計画などもまさしく組織の体質を変えるためのものであり、今、町田が大きく動き出しているということであると私は実感をしております。
そこで、今回の質問になります。まさしく組織の体質を変えるために役立つものであり、より活用が期待をされる「事務事業カルテ」についてであります。この「事務事業カルテ」、今回も決算特別委員会に出ておりますけれども、ここまで完成するまでに本当に担当者の方は苦労されたと思います。担当者同士の調整や各部署に理解されるまで本当に苦労を重ね、ここまででき上がったものであるというふうに私も思っております。
そして、こちらは3年目になると思うんですけれども、この「事務事業カルテ」作成にかかわった方たちの努力によりこういったすばらしいものができ上がり、そして、市政改革のためにしっかりとした成果を上げているということは間違いのない事実であります。すばらしい仕事をされた皆様に敬意を表するとともに、改めて各部署の皆様におかれましてはご理解とご協力を私からもお願いをしたいと思います。
しかし、これで完璧なものができたということではないと私は考えております。この「事務事業カルテ」はホームページでも見ることができる状態になっております。要するに市民の皆様にも見ていただくことができるようになっておりますが、実際に見ていただきました。感想をいただくと、多かった感想が、何が書いてあるのかよくわからない、行政内部の人が見ればわかるのかもしれないけれども、一般の人が見てもよくわからない、こんな大ざっぱにしか書いていなくて評価も何もないという返答でございました。確かに一般の方が見た場合はよくわからないかもしれません。恐らく行政内部での現状認識やコスト意識を持たせるということでは意味があったというふうには考えます。しかし、それだけで終わらせてしまうのは大変もったいないと私は思います。よくわからないのにプラスして、そこに書いてある情報の裏づけがこの「事務事業カルテ」からはわからないといったことが過去にございました。
資料、平成17年9月26日、決算特別委員会より抜粋、佐藤常雄議員、大西宣也議員のそれぞれの質疑が載っております。こちらをごらんいただきたいと思います。この「事務事業カルテ」に書かれている情報、数字が何に基づいてつくられているものなのか。こちらに書いてある内容自体はもう改善をされ、その次の年から「事務事業カルテ」の内容は変わったということではありますけれども、こういう質問が出ること自体、その裏づけが何なのかというものが読み取れないということをあらわしております。
「事務事業カルテ」を見た市民の方はもちろん同じようにわからないわけで、ここに書いてある数字は何を基準にして、何と何を含んでいるのか、それがわからなければ正しい評価をすることはできません。
そういった意味では情報量の少ない「事務事業カルテ」なのではないでしょうか。
過去に私は葛飾区に行きまして事務事業評価表を見てまいりました。非常に細かく記載をされておりました。町田で1ページのものが2ページにわたり細かく評価表として出されておりました。恐らく多くの自治体でそれぞれのやり方があり、一長一短があるんだろうとは思いますけれども、町田の「事務事業カルテ」はまだまだ改善の余地があるというふうに感じております。
改善の余地があるもう1つの理由は、形骸化しているのではないかと感じるところです。毎年変わる数字を入力をし直し、財政課は厳しいから削れ、そして所管課は引き続き努力するという書類をつくる作業になってはいないのか。この「事務事業カルテ」をつくる意味は一体何なのかをいま1度見直す時期に来ているのではないかと思います。
国の補助金などでほぼ事業が決まっているものなど自由度がきかないものなどは数年に1回やる、そしてそれ以外の事業、政策的なものについてはもっと細かく「事務事業カルテ」をつくるなどの工夫があってしかるべきであると考えます。
そこで、お伺いいたします。ここまででき上がったということは本当にいいことであり、すばらしいものがつくられたというふうに思います。ですが、まだまだ改善の余地があるというふうに考えます。評価がより必要な事業を抽出した上で「事務事業カルテ」を細かくするなど工夫をし、市民が見てわかるよう「事務事業カルテ」を改善していくべきと考えますが、いかがでしょうか、市長の見解をお聞かせください。
以上、壇上よりの質問といたします。
◎市長(石阪丈一) お答え申し上げます。
新しい中期経営計画について前向きな評価をいただきましてありがとうございます。私の方からは、2番目の行政評価制度についてについてお答えを申し上げます。
この「事務事業カルテ」というのは私が就任する前からスタートしているわけですが、目的として成果指標、つまり暮らしの質の目標を設定するということが第一であります。それに向かって仕事をしましょう、こういうのが「事務事業カルテ」の目的であります。1つ1つの事業について、いわばそういう観点から評価をしましょうというのがこのカルテということで診断をするということになります。
しかし、暮らしの質の目標を設定するという作業はここ3年ほど、つまりおととし、その前から各部門でやってきました。部門目標という形で成果を、あるいは暮らしの質をどこに設定するかという、片仮名言葉で言うとアウトカム指標ということなんですが、それを設定する作業をしてきました。しかし、ありていに申せば、この指標は理想的ないわば経営手法でありまして、理想的といいますのはかなりレベルが高いということでありまして、今回のご指摘のように、実際の作業場面になると、去年のデータを直すというようなところに出してしまうというのはちょっと言い過ぎなんですが、作業の方の質が下がってしまう、こういうのがギャップとして、つまり、カルテをみずからつくって、みずから判断をして、みずから直すという理想的な考え方、自己診断をして、自己で変える方向を決めて、それをまたみずから実行するという、非常に理想的な考え方なんですが、残念ながらそこまで行政経営の体質が全部の職員には行き渡っていませんので、そういう形が実行されていない。どういう形になったかというと、ご指摘のように前年のものを直すだけになってしまうということだろうと思います。
実はこの「事務事業カルテ」と似た作業を5年ほど前に横浜でもやりました。そのときの行政管理課というところがやったわけですが、やはりホームページに膨大な量の「事務事業カルテ」を出しました。市民からは、とにかく現状のまま継続という判断のものが8割、9割並んでいて、しかも、そのことを実感するまで3時間、4時間ホームページを見ていなきゃわからないと。これはだれも見ないよというふうに私も言われました。確かに私も一生懸命見たんですが、とても見られるような状態ではない。つまり、膨大な資料を出して一生懸命やっているということが証拠品としては出ているんですね。悪く言うとアリバイなんですが、ただし、市民の方にはわからないという、何のためにやっているのか、そこで目的が達成されないスタイルの成果品が出てきたというのが、この町田ではなくて横浜の実情です。そのことがあって、ご指摘のように、ポイントとなる経営改革の項目を絞って、それについて徹底的にやるということで改革を通じて意識が変わるという方式に変えようといったのが、その後、横浜で言えば横浜リバイバルプランという名前の改革なわけです。
そのことは私もよく承知しておりましたので、今回の「事務事業カルテ」についても、1つ、これは去年からもお話をしているんですが、「事務事業カルテ」をA4判の3ページに書いて、新聞記者に渡して、記事に書いてもらえるものというのをつくれる、そんなものを、そういう取り組みをしてもらいたいと言ってきましたが、なかなか今そこまではできておりません。1つのものに対するこっちからのメッセージは少なくともA4、3ページが限度だと思います。それ以上量がありましたらとても読めるものではありませんので、そういう意味で、何がこの「事務事業カルテ」でわかりましたかと言われたときに、2ページ、3ページにまとめる、そこの能力が一番大事なんだというふうに思いますし、そういうふうにまとめられない作業を100回やっても1,000回やってもむだだというふうに思います。
ご指摘のことは、多分余りひどく批判をされないということでご遠慮いただいたのかと思いますが、私自身は今までのやってきたことを余り遠慮せずに言える立場なので、はっきり申してそういうふうにきちんと市民に理解できる形で出てこないものはむだな作業ということになってしまいます。職員は非常に大変な労力を使ってやっているんですが、結果としてむだになるということはできれば避けたいというふうに思います。そういう意味でこの「事務事業カルテ」についてもこれからどうするかということは今検討しているというところでございます。
以上が私の見解ございます。
その余のご質問については副市長、教育委員会及び担当の方からお答えを申し上げます。
◎副市長(岩崎治孝) 「事務事業カルテ」のことでございますけれども、ことしで作成して3年目となります。前年度の事業の実施状況、あるいは毎年追加し、掲載しているわけでございますけれども、議員ご指摘の点もございました。また、市長からのお話もございました。
そこで、今後は市民の方でも手軽に見られるような工夫を含めた検討を学識経験者を入れて検討してまいりたいというふうに考えております。
◎防災対策担当参事(大貫武) 災害発生時の対応についてのうち、3項目についてお答え申し上げます。
まず、1項目めの避難所災害用仮設トイレの整備状況でございますが、現在の仮設トイレの整備については、避難所での使用となるため、市内67カ所すべての避難所に、車いすでの利用が可能なトイレ1基を含み、計4基ずつ、貯留式の洋式トイレを配備しております。各避難所に4基ずつ備蓄しているのと合わせて市の備蓄倉庫に35基備蓄しており、全部で303基備蓄しております。また、簡易トイレはビニール袋でのため置き式で、各避難所に8個ずつと市の備蓄倉庫に160個の合計697個備蓄しております。
2項目めの多くのトイレを設置できる体制ですが、今後、避難所の整備充実を図るべく、現在備蓄している貯留式のトイレに加え、議員ご提案のような下水道管直結式のトイレなどについて検討してまいりたいと考えております。
3項目めの情報収集、連絡体制ですが、避難所の情報伝達手段については、地域の情報拠点である市民センターの活用や避難所指定職員の伝令などにより確保しております。今後は体育館などの避難施設でも電話回線が引けるよう、施設管理者とも協議して整備を検討してまいります。また、避難所との情報連絡手段については、電話回線以外の機器も含めた整備について検討してまいります。
以上でございます。
◎学校教育部長(安藤源照) 私の方からは、項目1、災害発生時の対応についてのうち、体育館の設備関係についてお答えをしたいと思います。
ことしの暑さは特別のものがございましたけれども、体育館の室内の暑さ対策については現在いろいろな手法を検討しているところです。今後、体育館の断熱性能の向上や通風の確保といった構造面での改修のほか、送風や局所冷房といった設備面での充実について検討し、体育館の立地条件に合わせた対策の具体化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
以上です。
◆12番(新井克尚) 避難所のトイレの件から再質問をさせていただきたいと思いますが、提案をしたこの下水道直結型のは今後検討していただけるということで、いつ災害が起きるかわかりませんので、なるべく早い段階で順次進めていただければ、なおいいのかなというふうに思います。
それまでの対策ということになると思うんですが、阪神のときにも新潟の中越のときにもやはり問題となったのが、この仮設トイレ、組み立て方がわからなくて放置をされたということが非常に多かったという話を伺いました。これは他の自治体から仮設トイレが足りないだろうからということでたくさん送られてくるそうなんですが、実際組み立てられる人がおらず、その仮設トイレが箱に入ったまま避難所の横に放置をされていた、そういう情景もあったようです。
ということで、必要なのはまさしくこの仮設トイレを組み立てる練習をこれからはしっかりとしていかなきゃいけないんだろうなと。防災訓練のときに展示をするのではなく、実際に市民の方につくっていただき、体験をしていただき、それを多くの方に体験をしていただくことがこれからの課題であると思いますので、まずその点についてお考えをお聞かせをいただければと思います。
◎防災対策担当参事(大貫武) 実際に仮設トイレを組み立てるというところについても、昨年から避難所関係者連絡会という避難所ごとの連絡会を立ち上げました。それで、具体的にそういう行政の支援が届くまでの間に各自主防災組織が体制をつくるというところで具体的に仮設トイレの組み立て等も今回の防災訓練でも取り組んでいただきました。ただ、訓練の時間帯があるもので、皆さんに組み立てていただくというところまではいきませんけれども、今後そういうことを訓練に盛り込んでいきたいと思っております。
以上でございます。
◆12番(新井克尚) 私がたまたま行ったところは展示という形で終わっておりましたので、順次恐らく進んでいくことと思いますが、消火器とかバケツリレーとか炊き出しとか、そういった訓練は毎年行っていますので、できれば多くの方にそちらの方に参加していただけるようなプログラムを進めていただければと思います。トイレについての質問は以上でございます。
次に、情報収集、連絡体制についてですが、体育館の方にもつけられるようにするというお話をいただきました。まさしく被災者の方がいらっしゃるのは体育館であり、学校の場合、今現在電話があるのは恐らく職員室となると思います。職員室から体育館まで近ければいいですが、学校によっては恐らく結構な距離があったりする場合もあると思います。体育館の中の被災者の方が体調を崩された、どういう状況なのかということをすぐに連絡するには、やはり避難をされる方がいらっしゃる場所にすべてこういったものを設置をしていく。
そしてもう1つ、電話以外の連絡手段も今後検討するということでございましたけれども、電話線が切れた場合はその避難所は連絡がとれないということが今の現状であるということがはっきりいたしました。これに関しては最優先で整備をしていただかなければいけないのではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
◎防災対策担当参事(大貫武) 先ほど申し上げましたように、今後は具体的な取り組みというところで避難所を拠点とした取り組みを進めていこうかという計画になっております。それで、電話のふくそう、もしくは途絶時に使える通信手段を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◆12番(新井克尚) 検討も何も置かなければいけないことだと思いますので、これはもうすぐにでも指示を出していただかないといけないレベルなのかなと思いますが、その点、いかがでしょうか。
◎防災対策担当参事(大貫武) 先ほど申し上げましたように、今年度67カ所すべての避難所にトイレの整備が完了いたしました。次の計画の中でその通信手段の確保ということに取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
◆12番(新井克尚) できる限り早い対応をお願いをいたします。
体育館の設備につきましてはさまざまな形で対策をしていくというお話をいただきました。いろいろな場でこういった暑さ対策は活用されることも多いと思います。特に避難所で多くの方がいらっしゃるということを想定した上でいろいろと検討を引き続きしていっていただき、そして早いうちに導入をしていただければと思います。こちらについては特に再質問はございません。
最後、行政評価、「事務事業カルテ」についてでございますが、有識者を入れて市民の目線で見れるものをつくっていくように検討していくというお話をいただきました。非常に前向きな答弁をいただきましてありがとうございます。
実際葛飾区でこの「事務事業カルテ」が始まったときに、友人がたまたま葛飾の区議会議員でこういうのが始まっているから見に来ないかということで行ってまいりました。決算特別委員会と並行してこの「事務事業カルテ」を扱う特別委員会があったようで、決算特別委員会よりも決算特別委員会になったと。その「事務事業カルテ」にある情報から、確かにいいことをやっているんだけれども、この事業でこれだけの人を対象にして、こんなに税金をかけているんだったらやらなくてもいいんじゃないか、そういう判断もこの「事務事業カルテ」から読み取ることができたと。やっていることはいいから、それをいかによくしていこうかという判断ももちろんあると思いますけれども、そのやっている事業自体、そんなに税金を使う必要があるのか、そんなに人をかける必要があるのか、そういった客観的な評価を得られる手段としても活用できるからこそ、この事務事業評価というのは可能性があるものであると私は考えております。
ぜひ先ほどご答弁いただいたとおり、市民の方が見て、行政はこういうことをやっているんだな、こういうことに税金をかけて、こういうことに職員をこれだけかけている。本当にそれが必要なのかどうかという率直な声が聞けるものをつくっていただきたいというふうに要望いたしたいと思います。
さらなる行政評価、こういった事務事業評価表、すばらしいものができ上がりますことを期待をいたしまして、私の一般質問を終わりたいと思いますが、特に何もなければ以上で終わりたいと思います。
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