議会報告

[議会報告]平成25年3月定例会 – 職員の給与削減、公立学校教育について

[平成25年 3月定例会(第1回)-03月05日-04号]

 

1. 職員の給与削減について
2. 公立学校教育について

 

◆14番(新井克尚) 通告に基づき一般質問を行います。
項目番号1、職員の給与削減について。
(1)町田市の給与水準についてですが、現在の町田市職員の給与は法的根拠等も含めどのように決められているのでしょうか。また、ほかの地方公共団体や民間などと比べてどのような水準にあるのでしょうか。
次に、(2)削減について、市としての考えはどうかについてですが、昨今、国において閣議決定された地方公務員への給与削減の内容、及びこれを受けて求められている町田市職員の給与減額はどんな内容になっているのでしょうか。そして、このことを受けて、町田市職員の給与減額について市長の考えをお聞かせください。
次に、学校教育についての、まず、領土、領海の学習についてであります。
現状と今後についてでありますけれども、本日、議長の許可をいただきましてパネルを作成してまいりました。皆さん、これ、何だかご存じの方はいらっしゃいますでしょうか。こちら、「この国のほんとうのかたち」というタイトルがついておりまして、領海を含めると、日本はこのような形になります。大変広い面積を持つ海洋王国でございます。しかし、では、自分たちの領土がどこまで及んでいるのか、なかなか学校の教育ではわからない、知らないという方が非常に多いということで、公益社団法人日本青年会議所のほうでこういう、「領土・領海検定シート」というものを作成しております。本日、皆様方のお手元にも資料を配付させていただいております。
日本青年会議所が平成24年に全国50カ所でこちらの調査を行いまして、約5,600人の方にこちらをやっていただきました。正答された方は約1割だったそうであります。また、高校生を対象に約400人やりましたところ、こちらは正答率1.2%、大変低い状況でございました。
では、学習指導要領にはどう書いてあるかといいますと、平成20年の改訂で小学校5年生、改訂前は、社会科において国土の位置に関連をするという形になっておりましたけれども、この領土についての新しい内容、位置づけとしては、我が国の位置と領土という形に変更をされたということであります。また、中学校については、社会の地理的分野で世界と日本との地理的認識を一層養うという形に変更されたそうであります。
そこで、教科書を実際見てみました。国土の広がりと領土という形になっておりますけれども、与那国島、沖ノ鳥島、返還を待つ北方領土という形で、領土問題については北方領土の記載があり、あとは東西南北の端にある我が国の国土が記載されていると。空から国土をながめてみましょうという形で書いてあるものも、与那国島、南鳥島、沖ノ鳥島、択捉島(日本の北の端)と書いてあります。学習指導要領にしっかりと沿った形で日本の国土、東西南北の先端をしっかりと教えているということであります。
また、中学校の地理のほうですと、日本の北の端、北方領土、こちらはソ連に占領され、その後、ロシアに引き継がれましたという形で、北方領土についての領土の問題は書いてありますが、それ以外、こちらについては竹島もちょうどいただいたページには書いていないという状況でございます。
それでは、ほかの国はどのようにこの領土の教育をしておりますでしょうか。例えば、韓国でいえば、教科書では何倍ものスペースを割きまして、しかも今現在もこれはふえる傾向にあるそうであります。自国の主張を展開し、徹底的に教育をしている状況です。この教育が行き過ぎたからなのか、国旗を燃やすというような大変残念な結果になることは本当に悲しい限りでありますけれども、そこまで徹底して教育をしているということが挙げられると思います。
では、日本はどうでしょうか。歴史的に見ても北方4島、竹島、そして尖閣諸島は国際法上の観点で日本の国土であることは間違いありません。こういった国土を守らずして主権国家として成り立つわけがない。国民の生命と財産を守ることは本当に大切なことであり、これを教育することも大切であると考えます。
また、情報の教育もしっかりとすべきであります。やはり世界で戦っていく、世界で議論をしていくには、しっかりとした知識をまず持つこと、そして、当事者意識を持つことが大切であると考えます。
そこで、伺います。
この領土・領海の教育について現状と今後の方向性をお聞かせください。
次に、自衛隊の教育についてであります。
現状と今後の方向性でございますけれども、これまで教育現場では余り自衛隊というもの自体、取り上げられないという状況でございました。しかし、震災以降、この自衛隊という存在を教科書でもかなり扱うようになってまいりまして、また、総合的な学習の時間で職場体験学習ということで自衛隊を活用しようということで文部科学省も進めているところでございます。
なぜ震災以前、以後で自衛隊の取り扱いが変わったのかというところも疑問でありますけれども、まずはこの自衛隊の教育について現状と今後の方向性をお聞かせください。
そして、国歌、君が代の教育でございます。
現状と今後の方向性はということでございますけれども、これ、読めますでしょうか。この歌の題名は何かという、ちょっと読んでみます。1、「武器を取るのだ!我が市民よ!隊列を整えよ!進め!進め!敵の不浄なる血で我らの畑を染めあげよ!」この曲のタイトルを考えようという学校がございました。子どもたちの答えは、戦争の歌でございます。実際のところは、これはフランスの国歌なんです。「いざ立ち上がれ 隷属を望まぬ人々よ!我らの血と肉をもって」、中略しますけれども、「皆で危急の雄叫びをなさん 起て!起て!起て!万人が心を1つにし、敵の砲火に立ち向かうのだ!敵の砲火に立ち向かうのだ!進め!進め!進め!」、中国の国歌であります。それ以外にも、アイルランドやポルトガルもこういった戦うというものが中に入ってくるような国歌を斉唱されていらっしゃいます。それぞれの国の成り立ちであったり、やはり大陸が続いていますと侵略をされたりということもあって、その国の国歌の成り立ちは全くばらばらであります。
日本の国歌、君が代のすばらしさを伝えようと北海道の小清水中学校というところで、こういった他国の国歌と比較をして日本の国歌の成り立ちを学ぼうということをやられているという教育がございました。これは本当にすばらしい取り組みだなと思いました。
では、私自身が君が代について、小さいころにどう感じていたのかというお話をさせていただきますと、自分自身は、小中高、一切君が代を歌わずに過ごしてまいりました。小学校の卒業式は平面式です。今は壇上に上がって国旗に礼をしてやりますけれども、私が小学校6年生のとき、町田市立の小学校を卒業しましたが、平面で保護者と向き合って卒業式を行っておりました。このときは国旗を背にしていたんだなと、今考えると思っております。
学生に聞いてみますと、小さいころ、国歌に対して余りいい印象を持っていなかったという話をしておりました。一体なぜなんだろうと今考えてみると、身近にそういう大人がいたからなんじゃないか。子どもが、自分自身が、君が代が果たしていい歌なのか、そうじゃないのかと考えた上で出した結論ではなく、身近にそういうことを教える大人がいたからであると。自分もそう思ったのは誰かにそう教わったからなのではないかという話でございました。まさに思想信条の自由を侵しているのはこういう人たちなのではないかと私は考えております。子どもたちを自分たちの勝手な主張に巻き込まないでいただきたいというのが私の主張であります。
そこで、お伺いをいたします。
国歌の教育について、現状と今後の方向性をお聞かせください。
以上、壇上よりの質問といたします。

◎市長(石阪丈一) おはようございます。本日は一般質問の2日目でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
新井議員のご質問にお答えをいたします。
私から、項目1番、職員の給与削減についてにつきまして、(1)(2)一括してお答えをさせていただきたいと思います。
そもそも職員の給与は地方公務員法第24条の規定によりまして、国、他の地方自治体及び民間企業の給与を考慮して定めるものとされております。また、職員の給与は各地方公共団体が自主的に決めるものでありまして、国から押しつけられるものではございません。町田市では、地方公務員法第24条に基づく制度であります東京都人事委員会勧告、これを参考に東京都に準拠した給与制度を導入しております。民間給与と比較しても、また、近隣の各市と比較しても均衡を維持しているものと考えております。
議員、ご指摘の閣議決定をされました地方公務員の給与減額の内容でございますが、減額後の国家公務員の給料を100としてラスパイレス指数を加味した各地方公共団体の職員の給料の減額が求められております。町田市といたしましては、従前から職員人件費の削減に取り組んできたところであり、また、今後も地方公務員法の規定に基づき自主的に決定したいというふうに考えております。
その他の項目につきましては、教育委員会からお答えを申し上げます。

◎教育長(渋谷友克) 私からは、項目2の公立学校教育についてお答えを申し上げます。3点ご質問をいただきました。
1点目の領土・領海について教育の現状と今後の方向性はということについてですが、領土、領海につきましては、お話にもございましたように学習指導要領にのっとりまして指導をしております。具体的には、先ほどのご質問の中のお話にもございましたけれども、小学校5年生の社会科における我が国の位置と領土、中学校社会科の地理的分野における日本の地域構成という中で学習を進めております。
具体的な学習内容でございますが、北方領土を含めた我が国の国土を構成する主な島の名称と位置、我が国の北端、南端、東端、西端、日本列島の周りの海を取り上げ、地図帳や地球儀などで具体的に調べたり、白地図などに描きあらわしたりすることによりまして我が国の位置と領土を具体的に捉えさせております。
また、北方領土は我が国固有の領土でございますけれども、現在、ロシア連邦によって不法に占拠されているといったこと、それから、我が国の固有の領土である竹島をめぐっては韓国との間に主張の相違があることなどにも触れまして、領土、領海について理解を深めさせております。今後も、学習指導要領に基づきまして適切に指導をしてまいりたいと考えております。
2点目、自衛隊についての学習の現状と、今後の方向性はについてでございますが、小学校では、学習指導要領に自衛隊の言葉はございませんけれども、国際紛争と平和についての学習におきまして、現在、町田市が採択している教科書では外国で活動している自衛隊について学んでおります。また中学校では、学習指導要領にのっとりまして、社会科の公民的分野における私たちと国際社会の諸課題という中で自衛隊について学んでおります。具体的には、歴史的分野における学習との関連を踏まえながら、自衛隊が我が国の防衛や国際社会の平和と安全の維持、そして災害派遣など重要な役割を果たしていることについて学んでおりまして、小中ともに引き続き指導を継続してまいります。
3点目、国歌の学習について、現状と今後の方向性はについてでございますが、国歌の指導につきましては学習指導要領に記述されておりまして、具体的には、社会科では小中学校とも国旗及び国歌の意義、並びにそれらを相互に尊重することが国際的な儀礼であることを理解させ、それらを尊重する態度を育てるよう配慮すること、それから、音楽科では、小学校において、国歌はいずれの学年においても歌えるよう指導すること、そして、特別活動では、小中学校とも入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとするとなっておりまして、これらに基づき各学校で指導を行っております。
なお、町田市教育委員会では、卒業式、あるいは入学式の実施前に、児童生徒が将来国際社会において尊敬と信頼を得られる日本人として成長していくためには、国旗及び国歌に対し一層正しい知識を持たせ、それらを尊重する態度を育てていく、このことを徹底するように毎年度各学校に通知を出しているところでございます。
以上です。

◆14番(新井克尚) それでは、給与削減のほうから再質問をいたします。
総務省からは、給与の減額措置としてどのような内容の要請が来ておりますでしょうか。国のほうは7.8%の減額を行っておりますけれども、各地方公共団体にも一律に7.8%削減せよということなのでしょうか。お聞かせください。

◎市長(石阪丈一) お答えいたします。
国家公務員の給与減額支給措置に準じた取り組みというものを要請されているというのが現状でございます。ただし、各団体一律に現状から7.8%減額するというような求め方ではございません。
具体的にご説明申し上げます。今年度におきまして、国家公務員の給与減額を反映した町田市のラスパイレス指数は110.4でございますが、仮に国家公務員の給与減額がなかったと仮定した場合のラスパイレス指数は102.1でありまして、この差、実際は110.4と102.1の差、8.3%の給料減額が求められているというものでございます。

◆14番(新井克尚) 一律ではないということでありますけれども、それ以上、7.8%よりも大幅な減額が求められているということが明らかになりました。
では、これまで町田市の給与削減措置の状況はどうなっておりますでしょうか。お聞かせください。

◎市長(石阪丈一) これまでの取り組みについてのお尋ねでございますが、これまで町田市は、まず市民サービスの向上ということを目指して当然行政をやってきたわけですが、そのほかにも、業務の改善、あるいはマネジメントというんでしょうか、組織能力の向上を目指して努力をしてまいりましたが、それとともに、職員人件費の削減、あるいは抑制のために職員定数の見直しを行いまして、2007年度からの5年間におきまして104人の職員数の削減を実行してまいりました。
また、給料表につきましても、従前は従ってこなかったんですが、現在は東京都の給料表に準拠する。あわせて、いわゆる特殊勤務手当を初めとする各種手当の削減と見直しを実行してまいりました。
それから、業務の委託化の推進につきましては、ごみ収集業務の大半を委託化するとともに、町田市民ホールや町田市立総合体育館を初め90の公の施設での指定管理者による管理運営の転換などによりまして、職員数の削減を軸に総額人件費の抑制を進めてまいったところであります。

◆14番(新井克尚) 石阪市長の就任後、委託や指定管理の導入により得られたおおよその削減効果もぜひお聞かせいただきたいんです。
また、職員数の削減や各種給与の見直しなどによって得られた効果の額もあわせてお聞かせください。

◎市長(石阪丈一) 削減の効果のお尋ねでございます。削減の金額で申しますと、先ほどご答弁申し上げましたごみ収集業務の委託化によりまして、2007年度から2011年度までの5年間におきましては約8億7,000万円の人件費の削減効果がございました。一般会計職員の人件費で比較をしてみますと、2007年度から2011年度では約20億円の削減、それから手当につきましては2008年度から特殊勤務手当の大幅な見直しを行いまして、約9,600万円の削減をしてまいりました。また、ことし、この1月ですが、2013年1月からは住居手当の見直しによりまして、今後、毎年約1億3,000万円の削減を図っておるところでございます。

◆14番(新井克尚) やはり金額になると大変わかりやすいですね。8億7,000万円、20億9,600万円、1億3,000万円、これが毎年ということですけれども、ここまでで考えても30億9,600万円。努力をしてここまで削減してきた自治体に対してメリットを出すという形ならわかるんですけれども、ただいま明らかになったように、石阪市長が就任して以来、30億円以上という額の歳出削減を行っているわけであります。ここまで削減の努力をしているにもかかわらず、インセンティブをつけるどころかさらに減らせというのは本当にどうなんでしょうというふうに思います。
この件について、全国の知事や市長なども反発をしているようでありますけれども、最後に、給与を削減しない場合、地方交付税の影響がどうなるのかというのをお聞かせいただけますでしょうか。

◎市長(石阪丈一) この問題に関しましては、政府の方針が出て以来、地方6団体を初めそれぞれの団体で――もちろん東京都の市長会も含んでいるわけですが――一方的な国からの押しつけというものについてはほとんど反対という、まさしくそういう声明ないし意見書が出されております。
交付税への影響ということでございますが、給与を削減しない場合どうなるかということですが、交付税を減額するという大きな枠組みというんでしょうか、予算の枠組みはそうなっているわけですが、内容的にどうするかということについてはいまだ何の情報もなく、詳細ということでいえば不明という段階でございます。
もう1度申し上げれば、職員の給与というのは地方公務員法に基づいて、あくまでそれぞれの地方公共団体の判断で決めるべきものというふうに私は考えております。

◆14番(新井克尚) 交付税についてはまだよく決まっていないということでありまして、この先どうなるかがわからないということでありますけれども、やはり地方自治体は独立をして自治を行っていくという姿勢が何よりも大事なんだということがわかりました。こちらについては議会も恐らく市長と一体となって行動できる話だと私は思いますので、引き続き、この推移を注視しながら自治体として自立をして自治をしていくために私も全力を尽くしてまいりたいと思います。
この項目については、以上で終わります。
領土・領海教育についての再質問を行います。
先ほどの答弁から1つわかったことがありまして、やはり尖閣諸島については触れていないということ、これは指導要領に基づいているということでありますので、その指導要領をちょっと見ていこうと思います。小学校の社会、「「我が国の位置と領土」を調べるとは、我が国の国土を構成する北海道、本州、四国、九州、沖縄島、北方領土などの主な島の名称と位置、我が国の領土の北端、南端、東端、西端、日本列島の周りの海を取り上げ、地図帳や地球儀などで具体的に調べ、白地図などに書き表すことにより、我が国の位置と領土を具体的にとらえることである。その際、領土については、北方領土の問題についても取り上げ、我が国固有の領土である、歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島が現在ロシア連邦によって不法に占拠されていることや、我が国はその返還を求めていることなどについて触れるようにする」。
中学校でございます。「『北方領土が我が国の固有の領土であることなど、我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすること』(内容の取扱い)とあることから、北方領土(歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島)については、その位置と範囲を確認させるとともに、北方領土は我が国の固有の領土であるが、現在ロシア連邦によって不法に占拠されているため、その返還を求めていることなどについて、的確に扱う必要がある。また、我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ、北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である」。「『学習全体を通して、大まかに日本地図を描けるようにすること』(内容の取扱い)とは、この中項目の学習では、日本の略地図に日本の東西南北端などの領土の端を描き加えたり、様々な地域区分を描き入れたりするなどの活動を取り入れていくことで、日本の領域の広がりや東経135度の経線などに留意しつつ、日本を構成する主な島々の大まかな形状や位置関係が分かる程度の略地図が描けるようになることを意味している」ということであります。
やはりこの指導要領を見ても尖閣については当然触れられていないんです。先ほど教科書を見ても、やはり尖閣については書いてございませんでした。
ここで本日、議長のお許しをいただきまして皆様方に配付したこちらの資料をごらんいただきたいと思います。「尖閣諸島」と書いた資料でございます。こちらは、武蔵村山市教育委員会のほうで独自に作成した領土、領海について知識を深める資料でございます。独自に作成されたのはこの尖閣諸島だけではなく、北方4島と竹島も独自につくられています。また、武蔵村山市以外にも島根県も独自に「竹島」というリーフレットを作成しておりまして、こちらも竹島について、歴史であったり、なぜ日本の領土であるということが明確に書かれているんです。こういった資料を補助教材として子どもたちの理解を深めているという行動をされていらっしゃいます。
実際、この資料もう1枚のほう、先ほどの「領土・領海検定シート」の下についているものなんですが、「各小・中学校長殿」という形で武蔵村山市の教育委員会のほうから通知が出ているんです。これは小学校5年生、6年生、中学校という形で、この資料をぜひ活用してくださいと。もちろん、留意事項もあったりするんですけれども、そのために作成しましたということで、同じ公立学校でもここまで知識を深めるための教育ができるということは間違いのない事実でございます。ということで、こういった教材もぜひ活用して、北方4島だけではなく竹島や尖閣諸島についても理解を深めるべきであると考えますが、いかがでしょうか。
そして、教科書に先ほど触れさせていただきました。小学校では東西南北の端、ということは尖閣諸島の位置というのはわからないんです。同じく竹島の位置もわかりません。中学校も北方4島と竹島については触れますけれども、じゃ、どこまでが領海なのかということも触れられていないということになるわけです。
国境がどこになるのか、実際先ほどパネルで見せましたけれども、こちら、「領土・領海検定シート」、自分自身がどこに領土の線があるんだと、国境線があるんだということが理解できていれば全部描ける書けるわけですよ。描けないということは、やっぱりそういう学習をしていないということになるわけです。子どもたちがしっかりと自分たちの国土はどこなのか、国境線がどこにあるのかということをはかる意味でも、こういった検定シートを活用してはいかがでしょうか。
以上2点、お答えください。

◎教育長(渋谷友克) いただいた2点のご質問にお答えをいたします。
初めに、2番目のほうのご質問でございますけれども、いわゆるそういった白地図のようなシートを使って児童生徒がどの程度理解しているか調べてみてはどうかというご趣旨だと思いますが、学習内容の適正な実施ですとか授業時数の管理ですとか、あるいは教育課程の編成、進行管理につきましては各学校の学校長の権限になっておりますことから、教育委員会が社会科の授業の中で領土、領海の理解度について全校的に検証するように求めるというのはなかなか難しいとは考えておりますけれども、当然のことながら、日本の領土、領海について、ご指摘の尖閣諸島も含めて、竹島、北方領土を含めて正しく理解をしていくというのは、これは大変大切なことだというふうに私自身も思っております。
先日、NHKの報道の中で、竹島に一番近い隠岐島の高校の隠岐高校の生徒が、今ご指摘のような、ちょっと類似の白地図に国境を描かせるということを取材して報道しておりましたけれども、あの高校であっても、私が見た限りやはり正答率は低かったです。やはりそんな実態を踏まえれば、こういった領土、領海の教育について改めて見詰め直すということは必要なことだろうと。
しかも、今、新聞紙上等も含めていろんな機会に領土、領海について関心を呼び覚ますことができるいい機会でもあると思っておりますので、そういう意味で、学校で作成する年間指導計画、この中に明記をするように指導してまいりたいというふうに考えております。
以上です。

◆14番(新井克尚) ありがとうございます。やはりテストは何のためにするか。その子がどういうところは理解をしていて、どういうところに理解をしていないかというものをしっかりと見きわめるためにやると思うんです。例えば、この子は、足し算、掛け算はできるけれども、余りのある割り算は苦手なんだなということが明らかになったりだとか、学年によって、例えば、2年生までは漢字を習熟しているけれども、3年生の漢字になるといきなりつまずくようになるなとか、やはりテストというのはそういうことが明らかになっていくからこそ、その子に合わせた指導ができると思うんです。
領土、領海についても、わからないまま、知らないまま大人になるということが、やはり一番の問題であると考えます。大切なことは、しっかりと当事者意識を持つこと、そして、知識を得ることであると思います。やはり学校現場の中でしっかりと取り組んでいただくという意味では、今の教育長の答弁は大変ありがたいお話でございますので、あわせてこういった資料もございますと、参考資料として校長会などで配付をして活用していただければと思います。
以上で領土、領海についての質問は終わります。
続きまして、自衛隊についてでございます。
学校の中で国際紛争と平和についての学習、また、私たちと国際社会の諸課題ということで自衛隊に触れているというお話でございました。また、震災以降、教科書で取り扱うページ数もふえているということが現状でございまして、震災前後でなぜ自衛隊の取り扱いがふえたのかということについて、いかがでしょうか。

◎教育長(渋谷友克) 震災前後で自衛隊についての教科書における取り扱いが変わったのはなぜかというお尋ねでございますけれども、まさに東日本大震災における献身的な自衛隊の活動を日本国民として注視すべきだという、そういう観点があったんだろうというふうに思っております。
教科書の採択に関しましても、直前になりまして教科書の記載内容をそういった記述を含めるということで改訂をしてきた教科書会社もございました。
以上です。

◆14番(新井克尚) 震災での活躍がやはり我々国民の心に響いたということであろうと思いますが、なぜ震災までは自衛隊について余り教育現場で触れることができなかったのか、出てこなかったのか。この1つの原因に、教育現場に根強くある何かが影響しているのではないかと私は考えております。
自衛隊、実際どうかというところを私自身も幾つか経験をしております。例えば、過去に行政視察で基地問題ということで小松基地を持つ小松市議会さんのほうに視察をさせていただいたときに、我々は厚木基地が周辺にありまして、米軍基地があります。夜間飛行訓練なども、要請をしてもなかなか動かないという現状がありますが、小松基地のほうでは、やはり自衛隊ということもあって、要請をするとなるべく午前中に訓練は終わらせて、騒音をなるべく住民に与えないようにという配慮をしたりだとか、学校周辺に子どもたちがいなくなって学校が廃校になるということになりそうだったときに、自衛隊の隊員さん、ご家族が学校周辺に引っ越してきて、その学校自体も盛り上げ、実際にお祭りなども積極的に参加をする町づくりにも参画をするというような現状がございました。
そして、震災のときも自分自身の子どもも家族もどうなっているかわからないのに、とにかく職務を遂行するために被災地の本当に厳しい環境の中で被災者を助けるという行動をされていらっしゃいました。こういった行動をもっともっとやはり私は子どもたちにも知ってほしいと思うんです。
きょう配付させていただいた資料に何で1999年の自衛隊の事故の記事があるんだろうと思われた方もいらっしゃると思いますけれども、この記事は、本当に自衛隊員の皆さんの覚悟があらわれているエピソードでございました。自衛隊は入隊するときに、ほぼ例外なく次のような誓約を行います。国民の生命、財産を守るために、その使命を果たすためにみずからの命をかけても職務を遂行するということでございます。
1999年11月22日、13時43分、中川二佐、門屋三佐の乗った自衛隊のT-33A練習機が墜落をいたしました。緊急脱出を試みたパイロット2名は残念ながら亡くなられてしまいました。写真でもわかるとおり、近所に住宅があったということから、本当に重大な事故であったということは間違いないわけでありますけれども、ここでちょっと不可解なことが幾つかあったんです。
航空自衛隊の事故調査委員会が調査をしました。この新聞記事にある交信記録は若干時間がずれておりまして、例えば、緊急脱出をすると42分30秒に言っているんですが、45分に事故機が墜落となっています。パラシュートが開いていないということは、高度600メートルを切って、恐らくもう100メートルぐらいだったんだろうというところから2分半も飛行しているわけがないということから、この交信記録は若干ずれているので、それを前提にお聞きいただければと思います。
この2人のパイロットは十数秒間の間、非常に重い戦いをされたそうであります。なぜこの事故が起きたのか。それはマイナートラブルと書いてありますけれども、コックピットの後ろにある燃料のコントロールユニットに燃料が漏れて、それが発火して、そこから煙が出たということでございます。そのままコントロールユニットが溶解してしまって燃料の供給が絶たれて、そのままコントロールのきかない鉄の塊となったという状況でございます。
エマージェンシーということで緊急事態の宣言をしますが、ここで1度、42分19秒と書いてありますが、14秒のところでベイルアウト、緊急脱出の宣言をしているんです。緊急脱出の宣言をしているんですが、そこでは脱出をしませんでした。動揺していたからでしょうか。この2人のパイロットはそれぞれ飛行時間が5,000時間、6,000時間を超えるベテランのパイロットでありました。だからこそ疑問が残るわけであります。
このベイルアウト、緊急脱出をしようとした瞬間に、恐らくこの2人のパイロットは眼下にある住宅地が見えたのであろうと。このまま機体を捨てれば自分たちの命は助かる。でも、そうすると住民に被害が及ぶかもしれない。そこで、1度緊急脱出を試みましたが、緊急脱出をせずに、その瞬間に自分たちの命を捨てることを決めました。
パラシュートを開いて助かる高度は600メートル、実際にこの記事にもあるとおり、サッカーをしていた川越市の公務員の方は、北の上空を約50メートルの高さで飛ぶ飛行物体をと書いてあります。もう既に生きられる、生還できる可能性はゼロでありました。この記事に書いてある2回目のベイルアウト、緊急脱出をした後に、「エンジンのトラブルか」と書いてある横に、「開かないままの白っぽいパラシュートが引っ掛かり、その下にはコックピットの座席が転がっている」というふうに書いてあります。
この事故、住宅街の中で起きた事故であるにもかかわらず、犠牲者はパイロット2名だけでありました。ぎりぎりの状況の中で、自分たちの命をかけて住民を守ろうとしたその行動、本当にすばらしいですが、なぜもう助からないとわかっているのにもう1度緊急脱出をしたのでしょうか。これについて、とある記者が自衛官にインタビューをしていたものがありました。記者は、2人のパイロットはベテランでした。この高度で助かるために脱出をしたとは思えないんですがと自衛官に聞いております。その自衛官の答えは、自分自身も被害を最小限に抑えるために最後の最後まで操縦桿を握る覚悟はある。ただ、その中でほんの少しでも時間があるのであれば、自分も緊急脱出のレバーを引く。なぜなら、緊急脱出装置を整備した整備員に余計な心配をかけたくないからだと。自分の命が尽きるその瞬間まで国民や仲間を思い行動された、このお2人の自衛官、心から敬意を表するとともに、ご冥福をお祈りしたいと思います。
しかし、これが自衛隊の現状であります。こういったことはなかなか伝わらない。自衛隊は確かに成立したところからいろいろな政治問題に巻き込まれている1つであります。自衛隊違憲論を唱える方もいらっしゃいます。しかし、自衛隊の隊員の方たちはそういった方たちも含めお守りをするのが我々の仕事だと。使命であるとお答えをされていらっしゃいます。
やはり我々の国土は、そして国民の生命と財産は誰が守るのか。そして、これまでの行動、活躍、こういったことを子どもたちにもしっかりと知っていただきたいと僕は思うんです。そういった意味から、その「火柱、住宅街から50メートル」のもう1つの新聞記事、「自衛隊員が児童に活動語る」、こういった活動も必要なんじゃないかと思うんです。これは実際に栃木県で小学校を相手に活動された、那須町立田中小学校で自衛隊員の方が子どもたちに震災の捜索、国防の仕組みを語ったというものでございます。総合学習の時間でこういった理解を深めるような学習があってもいいのではないかと思いますが、教育委員会の見解をお聞かせください。

◎教育長(渋谷友克) ただいまのご質問にお答えをいたします。
新井議員さんが今おっしゃっていたように、やはり自衛隊という存在は政治問題となってきた経緯がございますので、教育の中で自衛隊ということを取り扱うのはなかなか難しいという部分があったのは率直事実だと思います。ただ、実際、町田市内でも、そういう経過も含めて自衛隊の方をお呼びして授業などにかかわっていただいたという事例はないんですが、今ご指摘の事例ですとか、実際の実例、内容は調査をさせていただきたいと思います。例えば、災害対応等においては、自衛隊の方はもちろんのこととして、警察の方、消防の方等についてもいろいろご尽力をいただいているわけですので、そういった総合的な観点も一方においては必要だろうというふうには思っております。
いずれにいたしましても、具体的な実例を私どものほうでも調査をさせていただいて、その内容について、そのような実践もあるんだというようなことを校長会等でご紹介を申し上げたいというふうに考えております。
以上です。

◆14番(新井克尚) やはりこういったすばらしい自衛隊員の活躍であったりということが伝わらない1つの原因に、それを政治運動にしている人たちがあると私は考えております。先ほど、国旗、国歌のお話もさせていただきましたけれども、なぜか教育現場ではこの自衛隊のことが取り上げられなかった、取り上げることができなかった。本来、すばらしい活動をされていらっしゃるにもかかわらず、それを取り上げること自体が悪だというような雰囲気がやはり教育現場の中にあったのではないかなと。こういう考えを改めていかないと、今の子どもたちが果たしてこの自衛隊に対してしっかりと理解して大人になるのかどうか。
実際に自衛隊の北部方面の総監をされていた方にお話を伺ったことがあります。自衛隊に入って、その生徒たちに、自衛隊員たちにまず一番最初に言うのは、君たちは恐らく学校で自虐的な主観を学んできただろう。ぜひこの日本はすばらしい国だ、守るべき国だということを知ってもらいたいというところからスタートするそうであります。こういう現状をつくっていくのはどこなのか。私はまだまだ学校も変わるべきだと考えております。そういった意味でも、ぜひ積極的な行動をお願いしたいと思います。
最後に、国歌の学習についてでございます。
国歌の学習については徹底をされているということでございました。大変にすばらしいことであると考えます。私自身が国歌を、君が代を歌ってこなかった世代でありましたので、今現在の教育の中では、この国歌、君が代のすばらしさというのをぜひ伝えていただきたいという意味からも、先ほど、北海道の小清水中学校についての取り組みを取り上げさせていただきました。国歌の意味を正しく理解してもらおうということで、この君が代は、原型が10世紀の古今和歌集の祝いの歌にあって、11世紀の和漢朗詠集ではほぼ現在の歌詞になったということを知ってもらったり、世界の国歌が国の成り立ちと深くかかわっているのに対し、君が代は和歌という独自の文化に根差している。このことを学んで、日本の歴史や文化の奥深さに気づいてほしいという思いから実際道徳の授業でされていらっしゃるということでございました。
世界では、国歌斉唱時に胸に手を当てて忠誠を誓う国も多いという状況がございますけれども、このままでは自分の国に無知で誇りを持てない若者がふえてしまうんじゃないか、そんな危機感から、この先生は国歌や国旗の授業を始められたという背景がございます。実際この授業を受けた矢野君という15歳の子は、他国に比べて暗いと思っていたけれども、歌詞が優しいことを知って好きになったというような感想もあったそうです。
ただ、もちろん好意的な反応ばかりではなく、歌詞を覚えていなかった男子生徒は、結局、どの国歌も戦争に利用されると話したそうであります。要は、国歌の成り立ちであったり、それを利用する人たちがどうかという問題であって、この国歌を政治運動に利用する人たちに僕は巻き込んでほしくないと。純粋に国歌の成り立ち、そしてどういう歌なのか、それを知ってもらうことが何よりも大事だというふうに考えております。
そういった意味からも、この北海道の小清水中学校の取り組み、すばらしいと思います。いきなり取り組めということもなかなか難しいと思いますので、参考という意味になるかもしれませんが、ぜひ各学校にこういう授業のやり方もありますと、取り入れる形で検討していただければと思いますが、いかがでしょうか。

◎教育長(渋谷友克) ただいま小清水町の実践についてご紹介をいただきました。事前にご質問をいただいたときにそういうお話を頂戴したものですから、私どもも小清水町の取り組みについて調べさせていただきました。先ほど学習指導要領に基づく国歌についての指導についての考え方は申し上げたとおりでございますけれども、学習指導要領にもありますように、我が国の末永い繁栄と平和を祈念したもの、これが君が代、国歌ということを、その理解を深めていくことは大変必要なことだというふうに思っておりますので、事例として、今議員もおっしゃったように、参考にさせていただきたいと思っております。
以上です。

◆14番(新井克尚) ありがとうございます。子どもたちは純粋です。身近な大人が、これは悪いものだ、だめなものだと言えば、そうなんだなと、やはり思うんじゃないかというふうに思うんです。日本はすばらしい国だ、日本の国歌もすばらしい、国旗もすばらしい。この地域を愛する人をつくるには、やはりこの国を愛する人をつくるべきだと、つくらなければならないというふうに私は考えております。過去にBBCの調査で、日本人が日本に対する評価というものをお話しさせていただきました。他国に比べて非常に低い。日本はだめな国だとどこかで教わってきた弊害ではないかというふうに考えております。子どもたちを自分たちの政治運動に巻き込んでいただきたくない。そういう思いから数々の質問をさせていただきました。
本日、教育委員会から本当にすばらしい答弁をいただきました。引き続き、この日本を好きになる、そして平和を愛する子どもたちを育てていくためにご尽力いただきますことをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。

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